Downfall The Daylights pt.8

畜生作者が送る極悪ダークファンタジーラノベの続きはこちらです。

「捕虜を全員他の城に移動させろ。そこで処刑と亡者生産を行う。人間たちよ亡者が作り出される様を目にしたいか?」ヴァンパイア王が問いかける。

「武人として戦った相手がどの様に生み出されたか知る価値は十分すぎるほどにあります。ぜひとも」アダールが興味深そうな顔で答える。

「上に同じ。それに結構こちらは手こずった相手でもある」ジュニヤがつづく。

「自分を一度は殺した相手だけに……」ハジさえもこれには興味を示す。

結局三人は半分腐った馬に引かれた漆黒の馬車で処刑専用の城へと死霊魔術師らとともに向かった。

死霊魔術師見習いの青年が三人と同じ馬車に乗り合わせた。

「何処で死霊魔術の存在を?」ハジが青年に尋ねた。ハジの時代には死霊魔術は魔法学校の書籍にすら存在しなかったとされる。

「今では魔術学校でもその存在だけは知らされています。無論、入門するには大都市の地下社会のギルドに加盟することが前提です」死霊魔術師見習いの青年が話す。

「当然、ギルドに対する貢献がなければこちらでさらなる魔術を学ぶことはできません」死霊魔術師見習いが暗に王国諸都市で悪事に関わっていたことを示唆する。

「良心の呵責はなかったのか?」ハジが尋ねる。

「武装巡礼団にいる連中にそれを言っていただきたいですね」死霊魔術師見習いの青年が返答した。

「恐怖で束縛されることを拒むなら、より強い力を求めるのは人の運命。だから魔法学校を出た後すぐに死霊魔術の道を目指したのです」死霊魔術師見習いの青年が更に続ける。

「闇の力を使う魔術を志したということは闇の束縛もすでに受け入れたと?」ジュニヤが興味深そうに尋ねる。

「はい、ヴァンパイア卿に死なない程度に傷をつけられました。これが洗礼の印です」青年が青白い胸板を見せる。鍵爪で斬られた傷が黒く残っている。

「治療として生き血に数日浸かり闇の力を手に入れました。後は長い時間をかけて死霊魔術を極めて王国に尽くすのみです」青年がニコリと笑う。彼がここまで危険な人生を歩むに至る理由を聞く気にはなれなかった。

「ヴァンパイア卿の作り方も見てみます?師匠に申し出れば可能ですが?」青年が悪意ある笑みを見せる。こうして一人の王国将軍が亡者の軍団へと加えられる。

「まあ、悪くはない……どうせ王国に帰ったところで俺の両親見たく無駄死にするだけだからな」アダールが躊躇いなく答える。

「どうせ半死半生で帰れない身。この世界に身を置くことの覚悟を付ける意味でも見ておく価値はあるのかも」ジュニヤまでもが口に出す。

「自分は遠慮しておきます。他人が亡者になるところを好んで見られるほど王国にまだ絶望しきれない自分がいる」ハジだけが意を異にする。

「まあ、いい時代しか見ていないという不幸は受け取っておく」死霊魔術師見習いの青年がハジにそう伝えた。

その頃王国本国の荒廃は軍閥化した王国諸侯による属王国侵略へと発展していた。

無論、王国諸侯といっても下級貴族であり王国にいたら先がないと思い、属王国へと攻め込んできたというのが本音である。

属王国の王都や都市は侵略軍から守られているが荒野はそうではない。

「パヴァロンの野良犬」と称する騎馬民族系の山賊団は常に侵略軍と戦っている。パヴァロンの野良犬は王国本土や属王国中央に居られなくなった無法者の集まりである。

ただしパヴァロンの野良犬には掟がある。「できるだけ相手に逃げ道を作る」「白旗を掲げた相手は攻撃しない」「白旗を翻して戦場に戻ってきた敵は容赦なく制裁する」

この三つの掟が破られたことは未だにない。徐々に属王国国王より頼られる存在となったパヴァロンの野良犬は属王国からも敵視された。

だが、パヴァロンの野良犬は属王国本国より交渉上手であり契約を守る。よって徐々に同盟関係が増えていき。今ではドワーフどころかゴブリン・オークと言った魔物とも同盟関係を結んでいる。

ドワーフやゴブリン・オークもまた聖王国の侵略を受けている。更に新たなる勢力である亡者の台頭にも苦悩している。

ゴブリン・シャーマンが魔術を心得ていてルーン文字読み書きができることから出自が謎に包まれたパヴァロンの野良犬の首魁サトケンも亡者勢力の台頭については知っている。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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