INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.21
人間になれない僕ちゃんはクマです……by天然無能
「あれ、ここのホテルって前に警備任務で来たはずが……」あの時はマーケット・ガーデン市観光局の依頼で超有名地元ゆるキャラの警護で出張してこのホテルのシングルに宿泊させてもらった。
(星付きだけに快適だったが……ここの株主優待が使えるってどういうカンパニーなんだ?)Aランクカンパニー2社の仕事でもここまでいい宿を手配された記憶はない。
(食事は不味くないはずだが。まあいい、滞在費を浮かす意味でも安くて美味い店を探して散歩するか……)ホテルにチェックインしてカードキーを受け取り海を見ながらスマホのマップで飲食店を検索する。
(おい、ちょっとまて星5つのファミレスが検索結果5?!ファースト・フードのチェーン店3店舗の星4とか……某カフェの星4もある……回転寿司の星5ってどういう店だ?!ここのホテルのレストランの星が4……)マーケット・ガーデン市のパークエリアのダークサイドを見た気がする。
(屋形船っていくらかな……)今度はトラベルアプリを開いてみる。予約は2ヶ月待ちのようだ。更にディナークルーズも検索する。予約は1ヶ月待ちである。
(さあ、星5つのアメリカンファミレスが徒歩5分、チャイニーズファミレスが3分だ。おし、ラーメンを食べたいからチャイニーズの星5つに行ってみるか……)こうしてハザードはスマホを片手に夜のマーケット・ガーデンのパークエリアを散歩して店に入った。
(……美味い。星5つの価値はある)担々麺を啜りながらこの環境に溺れそうな自分に恐怖を感じている。
(腹いっぱい食べたわリは安かった……)夜風に吹かれながら部屋に戻ってベッドに横になる。時がまるで止まっているかのように港の灯りが入り込む。
(今、夜だよな……たそがれてないし部屋はダブルだから小部屋じゃないし……)時計を見ると日付が変わっていた。
(カーテンなしでは寝られないな……いつ朝が来ても気が付かないぞ……)カーテンを閉じてからハミットのお下がりのスウェット上下に着替えてベッドに転がり込んだらすぐに睡魔が襲ってきた。
病院のベッドと違い、星付きホテルの快適さで目が覚めたときには午後になっていた。充電していたスマホにはSMSの着信履歴が残っていた。
「ハミットさんか……」部屋のWifiの接続番号を入力してSMSを読む。ナンバーは引き継いだが前のカンパニーを辞めた時にSIMは交換した。それほどカンパニーにいい思い出がない。電話そのもののメールアドレスはすでに変わっている。
(伝えたいことがある、部屋番号をメールして欲しい。返信はロビーから)SMSには簡素な文章が残っていた。
早速部屋番号と(朝食買ってきて)をSMSで返信してハミットからのSMSを待っている。
「残りの14人が気にならないと言えば嘘になる。スピードも重傷の状態で1日放置されていた。手遅れになっていなければいいのだが……」今更になって他のメンバーが気になりだした。
(今起きたのか?朝食が冷める。部屋をノックしたら誰だか確認してから開けろ)道路の渋滞と朝食を頼んだせいか40分後ぐらいに注意深いハミット先輩らしい返事が返ってきた。
数分後ドアをノックする音がした。魚眼レンズからドアの前の人物を確認する。ハミットだけのようだ。ゆっくりと扉を開く。
「州警察の被害者側証人の割に脇が甘いな」いきなりハミットに怒られた。
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