INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.99
もう全角4文字愛称ネタが尽きてきたようですby天然無能@今回の物語はハードボイルドっぽいです(あくまで「ぽい」レベルですが……)
その頃ジ・ミンは次の攻撃に備えあえて敵、味方双方に慈悲を与えずに川に投げ捨てて全てを済ませていた。
「ハイト」の中央部には温泉から流れた温かい川が流れている。長く伏兵していればのぼせるほどの水温だ。
その川に全てを流したら川の水が血に染まる。
下流住民の報告で救助活動が開始された。
「GRM直属部隊とはこういう存在だ……」川を見つめて呆然とする救助隊にモーゼルが告げた。GRMの部隊は決して自他ともに救助しない。彼らの辞書に「救助義務」という言葉は存在しないのだ。友軍さえも使い捨て、もしくは慈悲の名のもとに隊長の手で命を絶たれるのが通常だ。
だが、それを知らない者にこの光景はあまりに残酷すぎて耐え難いであろうことは歴戦の傭兵モーゼルでも理解できる。
「一般住民のボランティアはすべて断って消防と警察、あとはカンパニーに救助活動をやらせろ。救助活動のあとは俺が払うから酒を振る舞って全てさっさと忘れろ。それしか助言できることはない」モーゼルはそう言い残すとその場を立ち去った。
だがモーゼルは短時間に敵戦力が何者かを把握した。岸に上がった遺体から敵が「防弾少年軍」であると確信したからである。
防弾少年軍の実力は噂には聞いている。本国を影で支配するGRMの尖兵だ。一国を支配下に置く軍事組織が敵である。
「これはベテラン編成にしても苦戦は必至。かなり厄介なことになった……」モーゼルは新兵の運転する装甲装輪車の中で思案する。
「バックアッパーも総動員で第1波で相手をC地点に足止めするしか勝ち目はない。チーム1指揮官には逃げでなく勇気と自信が試される。あの男にそれができるかどうか……これは賭けだな」モーゼルが白羽の矢を立てたのはワイズである。
昔のワイズの大胆さと無謀さが残されていたらこの賭けは上手くいく。だが、指揮官は戦闘を重ねるとリスク回避に走っていく傾向がある。
だがそれ以外の適任者は誰かと聞かれれば自分でさえも不適格だ。逃げ足の遅い自分に引きと押しのタイミングを調整する自信はない。
ただ前線確保の達人はバックアッパーに揃っている。サポートのガミティとレオンの腕も信頼できる。スペシャリストのハザードはチーム1の第2ライフルマンに置いておけば盤石だ。
ソニックとスピードの腕前が当てになるかはギャンブルだ。でも、結果として勝っておけば負傷なら救助できる。ソニックの指揮が破綻したときのために本来スペシャリストのハミットをチーム2のスペシャリストに配置する。
車中である程度の布陣はできた。あとは初期部隊でどれほど相手の初期部隊を潰せるか?それだけだ……
ジ・ミンは次の相手の情報が入ってこないことと依頼主マッデスとの連絡が取れないことに苛立ちを覚えていた。
「指揮をチーム2隊長に譲り、本国に帰国する。契約上の不備が発生した恐れがある。チーム2の指揮官はチーム1の第1ファイターに譲る。いいな……」ジ・ミンは言い知れない不安を抱えながら日本海側の港町からこっそり貨物船で帰国した。
不吉な予感を抱えたまま……
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