Downfall The Empire of Tahjimar
今回はバカ話ですがエロの伏線です。
第28話 淫魔憑きの恐怖
「恐ろしい奴を拾ってきてしまった……」アノマツが頭を抱えている。
「楽しければそれでいいじゃないですか」当のキケオムは涼しい顔をしている。
「うむむ、自分はキネオムの方に理があると思っている」カヘナシが思案の末に答えを出した。
「理由を説明してほしいのだが?」アノマツが冷たい目でカヘナシを見据えている。
「俺達は暗黒の神々に仕える立場だ。つまり罪を捧げるのが信徒の役目だ。ならば罪に罪を重ねるのが信者と下僕のあるべき姿ではないのか?」カヘナシが根本を突く正論を吐いた。
「確かに俺たちの主人は罪を好む。俺たちもまた然りだ。確かに罪を重ねることが信徒と下僕の義務……なのかもしれないが……今は妻と子供以外に俺の関心はない。欲望がそっちに向かわない」アノマツが冷たく突き放す。
「今のお前はただのリア獣なだけだ。アノマツ……」カヘナシが最大限の五寸釘を打ち込んだ。
「そのとおり。今の俺はリア獣そのものだ。それより名無しの淫魔が放蕩するのはよろしくない。悪魔の道にも反している。司祭としてさっさとキケオムの悪魔名をご主人様からもらってこい。ただしキケオムより先にその名を知るのはカヘナシ、お前だ。そして絶対に忘れない。淫魔使いの遊び人司祭……お似合いだな……」アノマツが倍数の五寸釘を刺してきた。
「遊び人司祭……楽しそうでいいですね」キケオムがむき出しの情欲の眼差しでカヘナシを見つめている。
「悪魔名で僕を束縛して、知りうる遊び全てを駆使して弄んでいただけたら本望です」キケオムが更にカヘナシを袋小路に追い込んだ。
淫魔を束縛し、弄ぶ。暗黒の神に仕える司祭なら願ったり叶ったりだ。そもそも他宗派の女性の触手で弄ばれたいという変態願望を実行した結果が神殿追放6ヶ月処分の原因となった遊び人、それがカヘナシだ。しかも触手萌えとその悦びをアノマツの頭に植え付けたのも彼である。
アノマツはその欲望を隠しているが、出産後の妻に数多の触手が変異の結果生じたなら、その全てに絡まれ、束縛され、焦らされ、弄ばれ、最後は絶頂の先まで行ってしまいたいと切望している。
「キケオム、カヘナシは欲望のみでできている。理性があるように思えるがその理性も欲望が生み出した。この司祭は数多の触手に抱かれたいという肉欲を行動に移し罰を受けるほどの天性の遊び人だ。俺に女の落とし方を教えるためにきもわざわざ指技だけで俺を絶頂まで導いた変態野郎がこのカヘナシという司祭の真の姿だ。真の変態野郎に束縛される度胸はあるか?」アノマツがカヘナシの真の姿を曝け出す。
「さらに変態にしてみたい……」キケオムが舌なめずりし始めた。それを見てカヘナシの変態願望がふつふつと湧き出て身体に染み渡る。
「自分もそう……望んでいるようだ……もう煩悩に身体を支配された……この煩悩を一時的にでもいいから預かってくれ!」カヘナシが完全に崩壊した。
「人の目のあるところではできません。どこか密室を手配していただきたい。そこでじっくりと変態願望を互いに育むのはいががですか?」キケオムが底なし沼にカヘナシを引きずり込む。抗うつもりもないカヘナシは神殿の狂人房へとキケオムを誘った。
「狂人房をそれに使うか……」狂人房の意味を知るアノマツが淫魔とそれに心を支配された変態司祭の後ろ姿を見て呆れている。
狂人房は精神的変異で一時的狂気に陥って制御不可能な入信希望者が正気に戻るまで収容するための施設だ。そのまま狂気の中で脳を破壊されつくして絶命する者も絶えない闇の力の極めて強い場所だ。
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