Downfall The Empire of Tahjimar
ゲスの極みクソコンテンツ、昨日は更新しようと思ったら地面がグラグラ揺れました。
第37話 帝国皇帝タジマールの恐るべき真実(その2)
キケオムは変態ゲス野郎に慣れてきた。毎回これだけの闇の力を捨てたがる理由も徐々にわかってきた。
常人が抱え込んだら発狂するほどの恐怖。それをカヘナシは信者の洗礼の時に引き受ける。これで心が病まない者はおそらくいない。
キケオムは皮肉にもカヘナシの蜜を味わうことで信者がカヘナシに押し付けた恐怖を理解した。
恐怖と狂気が含まれるほど、カヘナシが放つ蜜の味は美味になる。だが、その恐怖と狂気の内容をアノマツにも知ってもらいたい。
キケオムは情事の後、カヘナシの蜜を小瓶に集めて持ち帰った。
キケオムは帝国のことについて話があるとアノマツを呼び出した。
「嘘ではないようだが、それは躊躇う……」アノマツが白い蜜の入った小瓶を見て顔をしかめている。
「おそらく蜜の味であることは確かだろう。だが、相当危険な代物だ」アノマツがキケオムの記憶をたどる。キケオムは蜜の味を通じて帝国の恐怖と狂気が生み出した異形の信者の体験を知ってしまった。
「まあ、少しだけ味見程度はしておこう……」大いに躊躇いながらアノマツが白い蜜を指で救って舐めてみる。
予想以上の恐怖と狂気が頭を駆け巡る。蜜の美味に比例して恐怖と狂気は巨大化する。
アノマツが見た恐怖と狂気、それは帝国都市の地下に張り巡らされた束縛する神の巣窟、すなわち神殿で聖職者の産み落とした仔を植え付けられた犠牲者が感情を捕食され、新たな捕食者となるまで巣窟に貼り付けられている光景だ。
アノマツの背筋がぞっとする。ジーナを暴力で束縛し、自分の下に走らせるほどの絶望を与えていたジョニーもまた、捕食者にされた人間なのだろう。
そしてジーナが捕食される寸前だとも知らずに自分が強奪した。
「キケオム、最悪の事態だな……」アノマツが一言告げた。
「まさかこんなにひどいことになっているなんて……」キケオムも困り果てている。
「つまり帝国宗教派の都市の連中は、世俗派を捕食した後、今度は一般人まで捕食の対象にした。このままだと皆が食い尽くされる……」アノマツが冷静に状況を語る。
「なぜ自分が捕食されなかったか理解できない……」キケオム自身はまだ気づいていない。
「お前が捕食されなかったのは快楽を求める欲望が絶望を上回ってしまったからだ。絶望で無抵抗になった相手しか連中は捕食できない」さすがは戦闘のスペシャリストであるアノマツの分析は的を得ている。
「確かに僕はあの快楽が忘れられないし、今も欲望を通り越して渇望している……」キケオムは的を突かれて率直な心境を語る。
「思春期だからな……ただ、その歳で永遠を手にしたということは、永遠に思春期のまま快楽を渇望し続けるということだ」アノマツが残酷な宣告をする。
「でも……あの連中に捕食されるぐらいなら永遠に快楽に飢え続けるほうがマシですよ」キケオムがそう言い返した。
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