Downfall The Daylights pt.10

畜生作者による極悪ダークファンタジーラノベの続きです

ザトの不吉な予感は的中していた。アダールとジュニヤは自らがもともと抱えていた闇を増殖され、その力の虜になっていた。嗜虐趣味が強くなり、死の現場にいると気が落ち着くのだ。

「ようこそ死霊魔術師の城へ」馬車が止まると死霊魔術師見習いの青年がステップを三人に用意する。

ステップを三人が降りると早速敵将をヴァンパイアの列に加える儀式を見せてくれるようである。ハジは所望でないのでその場を離れた。

蝋燭を灯した死霊魔術師見習いに案内され、処刑の間へとアダールとジュニヤが導かれる。

そこには木の棒に縛り付けられた敵将が上半身裸で処刑の時を待っていた。

ヴァンパイア卿が鋭い鉤爪をちらりと光らせ、敵将の顔を撫で回す。敵将の瞳は恐怖で見開かれえいる。

「人間として最後の瞬間だ。その光景を目に焼き付けろ」ヴァンパイア卿が一歩下がってそう言うとその鋭いかぎ爪を肩に突き刺し、肋骨の終点まで斜めに深く引き裂いた。

敵将は絶叫をあげるも出血とともに徐々にその声は小さくなり、最後はぐったりとしたまま血を流し続けた。将軍としての扱いからか、生き血は床へと染み込まされた。

「人間としての死を迎えたら床に横たえてやれ。明日からはヴァンパイア卿の一人だ」ヴァンパイア卿は真っ赤に染まった手を舐めながら去っていった。

「……君もこうしたの?」ジュニヤがその光景を目にしたあと死霊魔術師見習いの青年に尋ねる。

「似たようなものです。ただ、自分は目を閉じていましたし、傷も浅かった。その傷で人間として殺すのが目的ではなかったので」死霊魔術師見習いの青年が答えた。

若干人間として残されていた良心に胸を痛めつつも亡者の作り方への好奇心は消えず、そこにハジが合流する。

「自分には死霊魔術師の洗礼儀式だけで十分だよ」ハジはどうやら一度は見ていたらしい。

「では次は亡者の作り方です。これは皆さんが戦った亡者の軍勢がどのようにして作られるかをご覧いただきます」死霊魔術師見習いの青年が蝋燭を持って広い部屋へと導く。

あまりにも大勢の死霊魔術師がその場にいるのを見て三人は唖然とする。禁止魔術である死霊魔術がここまで広まっていようとは……

「死体にするのは見習いクラスの仕事です」死霊魔術師見習いの青年があるベッドにうつ伏せに拘束された胸を顕にされた捕虜を見せられる。

その両手と両足、両腕、両腿、腰は頑丈な革のベルトで拘束されている。すでに他人の絶叫を何度も聞いているのか半狂乱で悶えながら叫んでいる。

「すぐに終わります。先端の研ぎ澄まされたガラス管を心臓に自動で突き刺すだけですから。管をつたって血は心臓から密閉容器に流れていきます」死霊魔術師見習いの青年はそう說明すると足元のペダルを全力で踏んだ。

次の瞬間、捕虜の身体が硬直し金切り声が上がる。男は一分ほど悶えていたがやがて痙攣に変わり、声も立てなくなった。数分後には微動だにしなくなった。

「あと10分もすれば彼の人間としての時は終わります。その後は闇の力で動く魂を持たない亡者となる」死霊魔術師見習いが蝋燭を持って次の部屋へと案内する。

(正直、ここにもう一度来いと言われたら断るな……と、思うあたりまだ自分は人間なのか……)アダールが思った。

(暗殺を趣味にしてきたシリアルキラーの自分でもこれは……)ジュニヤでさえも直視しづらい地獄絵図がそこにあった。ハジは言葉を失っている。

「死体に闇の力を流し込む作業です。亡者の血を混ぜた鮮血に死体を投げ込んで浸す。そうすれば皮膚から吸い込まれた血によって、明後日までに遺体は闇の束縛によって亡者として蘇ります」死霊魔術師見習いが案内する。

真っ赤なプールに亡者の奴隷の手で大量生産された血を抜き取られた遺体が投げ込まれる。無数の遺体が血のプールに浮かんでは沈みを繰り返している。

「さあ、これが亡者たちの生み出される過程です。おわかりいただけましたか?」死霊魔術師見習いの青年が出口で言った。乗ってきた馬車が用意されている。

「聞いていいか?なぜ死霊魔術師を目指した?」アダールが馬車に乗る前に青年に尋ねる。

「最初は異端審問にかけられて死んだ魔術師ギルドマスターだった父を生き返らせたかっただけです。ただ、ここまで来るまでに自分は十分な罪を犯してきた」死霊魔術師見習いの青年が表情を変えずに言った。

「でも、洗礼を受けた瞬間に全てが吹っ切れた。自分の心の傷はこの傷に代わり、他者の鮮血は自分の心の飢えを満たしてくれた。今の自分は闇の束縛で救われた。それで十分です」青年が寂しそうな笑顔を浮かべた。

馬車の中で亡者の肉は100年かけて腐食し、失われていくと説明される。肉が全て失われていても骨が闇の束縛を受けているので骨だけの亡者も動くことができるとも補足された。

「自分たちの骨も棺桶の中でガタガタ言うのか?」三人は不安に襲われた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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