Downfall The Daylights pt.11

畜生作者「タコ・ライス」による極悪ダークファンタジーラノベです

その頃、ドワーフや遊牧民諸族、山賊団、一部の辺境貴族らで話し合った結果、一旦王都へと赴き、聖王国側に属王国側への侵攻を止めるよう代表者を数名立てて王の決断を迫ることになった。

「自分もついていっていいですか?」ザトがサトケンに尋ねる。

「白兵戦のスペシャリストが領地を離れるのは不安だが……まあ、教団と筋を通すなら一人は聖職者が必要だな。ついてこい」サトケンが答えた。

「あと……アダール卿を組み伏せた後だけど……」サトケンがザトをいきなり壁ドンして聞き出そうとする。

「ご期待に沿うような事はなんにもしてないけど、あいつ僕に色目使ってきた……流石に頭に血が上って腕をそのまま引っこ抜いてやった。それだけです」ザトがそういう関係ではないときっぱり断言した。

「お前……なんで色目使う相手に優しくなれないの?」サトケンが尋ねる。

「自ら媚びてくる相手に拒絶反応が出るだけ。教官たちと肉体関係結んで可愛がられた挙げ句互いに肉欲に溺れたりしたりとかそういう奴ら見てきたから余計に拒絶反応が強くなっただけです」ザトが語る。

「へぇ、やっぱり修道院ってそういうのありなんだ……」サトケンが興味深げに語った。

「……魔法学校にそういうのなかった?」ザトが尋ねる。

「魔法学校ってひ弱な頭でっかちの集団だからそういうところは奥手だしあまり肉欲がないというのか……知識欲と食欲は豊富だけど……」サトケンが語る。

「とか言って美少女を口説き落としたりとか……」ザトが更に疑惑を向ける。男女構わず口説き落としまくるサトケンがまともな青春時代を過ごしていた訳がない。

「一度……魔力をつけようと思って惚れ薬の原液を飲んだ時は一騒動起こしたらしいけど……それ以降に口説き落としてるのはあくまでトラブルを回避しているだけ。遊びとふざけは半分以下だって!」サトケンが否定する。

「惚れ薬の原液を飲んだって……それはご愁傷様」ザトが呆れた顔で見る。

「あと、飲んでしまったのは他者魅了のポーションの原液。あれも大騒動の原因になったらしい。数日間皆が俺の言いなりになって大変な騒ぎだったとは聞いている……」サトケンは余程魔力の欠如に悩んでいたらしい。

(素質が無いというのは気の毒だけどそこまでするか?)ザトが呆れてものも言えなくなった。首魁の思考が理解不能なところがあるのは若き日の過ち故か?

「運が良かったことといえば死のポーションと毒のポーションの原液を飲まなかったことぐらいかな……あれを飲む勇気はなかったな」サトケンが武勇伝を語る。

「飲んどけば!」ザトはそう言うと腹に据えかねたのかその場を出ていった。

(俺、なにか怒らせるようなこと言った?)サトケンが首をかしげる。

「死のポーションや毒のポーションの原液を飲んで魔力を増幅しようとして怪物化した教官や先輩の話が絶えないのが魔法学校なのだが……」実はサトケンが語るとおり魔法学校というのは相当にイカれた空間である。

死者の軍勢が完成したヴァンパイア公国に聖王国からの捜索隊が到着したのはサトケンとザトらが属王国王都に向かったちょうどその頃だった。

聖王国からの捜索隊は精鋭である武装巡礼団とその訓練生部隊からなっていた。武装巡礼団の訓練生部隊といえども正規軍部隊並みの戦力と考えて良い。

その虎の子の精鋭部隊が多数の消息不明部隊の捜索に向かったのだ。

そこにはヴァンパイア公国が先の消息不明部隊を亡者化した部隊が待ち受けていた。

戦果は経験不足のヴァンパイア公国が亡者の殆どを失ったものの捜索部隊も半数以上が戦死。武装巡礼団を指揮していた将軍はヴァンパイア卿の餌食となり、同行していた聖騎士と訓練生部隊の将軍、残存兵らは城門の内側に閉じ込められたままでいる。

城内の埃をかぶった空き家でやり過ごそうと多くの部隊が家屋に立てこもるも、その間に戦傷が原因で戦死していく兵士が続出する。聖騎士の傷も深く、翌朝には将軍の前で息絶えていた。

将軍は異変に気づいた。自分の傷が自然に治癒しないどころか悪化していくのだ。逆に死んだはずの兵士の傷がみるみるうちにふさがり回復し、傷跡だけを残して治癒し、起き上がる者さえ現れる。

そして、聖騎士までもが闇の束縛の力で生き返る。

将軍は恐怖のあまり扉を開き城の外へと逃げ出そうとする。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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