Downfall The Daylights pt.24
天然無能「ハン・ライス」が送るダークファンタジークソラノベです。
その後どれほどの時が経っただろう。未だにこの宝箱ともう一つの宝へとたどり着けるものはいない。
旅をしていた間も長かったが、ここで待ちづづけている時間もそれを超えている。
剣にたどり着いた時、ヴァンパイアの灰の中に残された石版を見て寒気がした。覚えたばかりのルーン文字知識を駆使してそれをなんとか当時の言葉に訳して羊皮紙に書き記した。
まさか彼らが闇の帝王の時代の後を知っているとは思いもしなかった。
そしてこの地で新たなる世代を待つことで自分が闇の帝王のあるべき世界にたどり着けることも……
だが、その条件はこの剣を手にできる者が現れること。だが自分の末裔がいるという自身は大いにある。
かつて旅の途中に立ち寄ったパヴァロンで肉欲を抑えきれず、子供を作ってしまったからだ。
静かに自分はその場を立ち去った。彼らの地なら自分の子供を正しく育ててくれるだろう。
その頃冒険者の一団が地図にない遺跡へとたどり着いた。彼らは地図上の遺跡が全て探索済みであることから地図にない地域をだけを旅していた。
俗に言うトレジャーハンターという存在だ。決して誇れる立場ではない。
だが、そこそこの宝を手に入れた。未知の怪物やライバルのトレジャーハンターたちとも渡りあってここまでたどり着いた。。
こうして経験を積んだ熟練の戦闘集団は全く恐れず遺跡へと踏み込んだ。
彼は暗闇でも松明すらつけていない。魔法の光すらも使用していない。
だが彼らは自分の下にたどり着いた。世界は人外の時代になってしまったというのか?
「失礼します」自分の姿に気づいた大柄の男が一礼する。変に礼儀正しい男だが、どことなく顔立ちがアダールに似ている。
ただし身体は遥かに大柄で、異常なまでの筋肉質だ。だが金色の眼光はそっくりだ。
「驚かれたはずです。光無しでここまで来たのですから……」男が丁寧な言葉遣いで話しかける。意外と教養があるようだ。
「ボス、地図に書き込んでおきました」小柄な少年が男の影から顔を出す。ローブを身にまとっていることから魔術師であることは間違いない。
この少年も闇夜でも目が見えるらしく、瞳が赤く光っている。やはりこの世は人外の手に落ちたというのだろうか?
「すいません、自分の名前がボスなんです。オークボスの家系のものなので」男が初めて名乗った。オークにしては背が高い上に顔が整いすぎている。
「自分はシャーマと申します。ゴブリンシャーマンと人間の呪い師とのミックスの家系の出身です。だから背が伸びないのですが」ニコリと笑うが意外と可愛い顔をしている。
その他の者たちも名乗りを上げるが、一人も純血の人間がいない。
「外の世界から去って1000年ぐらいは経っているが外の世界はどうなってる?人間はすでに滅びたというのか?」思わずシャーマに尋ねてしまう。
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