Downfall The Daylights pt.25
天然無能「ハン・ライス」による変態ダークファンタジーラノベです。
「手短に言います。純血の人間はピンクの雨が降り注いだ扇情降雨のあの日以降、快楽の虜となって堕落を極めてしまいました。それは闇の帝王が本来あるべき世界に戻られてからすぐのことでした」シャーマが語る。
「しかしパヴァロンにはすでに純血の人間はほとんど絶滅していたのです。おおらかな生活の下と貿易の拠点であったことから様々な種族との自由恋愛が進んでいた」シャーマがパヴァロンの歴史を語る。
「いかにもパヴァロンらしい展開だ……」宝を守り続けていたジュニヤがつぶやく。この者たちなら剣を託せるかもしれない。
「自分の家柄は農家の末娘とオーク王の大恋愛物語から端を発しているとされています。まあ、母のほうが大柄で足も太かったそうですが……」ボスが自分の出自を語る。笑うと短い牙が見える。聞かされるこっちも笑っていいのか困惑する。
「ゴブリンシャーマンと呪い師だって魔法の知識を交換しているうちに身体まで交歓したと笑い話になりました。そういういい時代がパヴァロンにもあったそうです」シャーマが自分の出自を語る。はっきり言ってこの話は笑わせていただいた。
「と、いうわけで愛さえあればなんでもありのパヴァロンではもはや全民族が純血種ではないという状況になってます」見るからに盗賊と言った男がいきなり闇から姿を現す。
「あ、すいません。シェードといいます。ナイトゴブリンの系譜を引いているので存在感が薄いのが欠点です」長身の割には明らかに体の線が細い男が姿を現す。この男の瞳は青い光を放っている。
「あの、お名前を伺ってもよろしいですか?」シャーマが一通り話しが終わった後、保存食のピザを念じただけで最上級のピザに戻す。
「すごい魔力だ……」シャーマの魔法に驚いている。
「これ、最上級の赤ワイン。地図にないワインセラーから頂いた」シェードが黄金の杯を人数分揃えている。
「乾杯の前に名乗らせていただこう。自分の名はジュニヤ。闇の帝王アダール卿と同じ時代に生まれた者だ」ジュニヤはそういうと赤ワインを口に運んだが久しぶりの酒が美味である。
「扇情降雨について聞かせてもらえないか?」久しぶりに人間の食事を取って満足したジュニヤが尋ねる。
「長いことここで待たれたらしい。禁欲が辛かったのですね……」シャーマがなにか勘違いをしているようだ。
「扇情降雨に対してパヴァロンの民には何故か耐性が生まれつきあったんです。混血が進んでいたともされているしその理由は未だに謎のまま」シャーマがその時代について語る。
「扇情降雨の虜になった抵抗を持たない民たちは欲望の赴くままの行動を未だに続けている。最も単純かつ暴力的な方法が何故か好まれる」シャーマが冷静に状況を語る。
「ただパヴァロンの民にとっては扇情降雨の水で禁断の恋が叶えられた。つまり異種族との間に子供を設けることができるようになったのです」シャーマは相当な記録を残しているらしい。
「それが50年前に起きたこと。自分たちの世代の2つ前の世代に起きた突然の変異でした」シャーマのような異種族とのミックスが可能になったのはこのためらしい。
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