INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.17
「ただ犯行グループがマーケット・ガーデン特別市内で少年を誘拐して弛緩剤で無抵抗にして客を取らせ続けた末に大量死させた事件との関連に州警察が興味を示しているようだ」シャオリがワッフルを頬張りながら話す。
「さすがはフロントライン・コープスのチーム1隊長だな。信頼度が違う」ワイズが羨ましげに見つめている。
「さらに警察筋から聞き出した。フルメタル・セキュリティーが戦った海浜公園跡地はその遺体発見現場と同じ場所だ。あの事件以降公園は閉鎖され、悪党の巣窟になった。まあ、そんなところから16人を救助して無傷の生還とは見事だな」シャオリが感心している。
「正直生きて帰ったほうが奇跡だった。個人的な技量で勝っただけだ」エンジニアとして見つけ次第相手を襲撃し続けていたシャイニが振り返る。
「人質の所在を突き止めたのがスナイパーのバトラーだったのも幸いした。バトラーはあの日精密射撃用のライフルでなく火力重視のSCAR-Hライフルで出撃していた。腕の良い射手と火力の高い武器の組み合わせがなければ全滅だったな」ワイズがバトラーの武器選択の適切さを指摘する。
「フルメタル・セキュリティーの面々は必ずセカンダリーを持っているがあれはお守りか?」シャオリが疑問を口にする。
通常のカンパニーでは装填数の少ないショットガンや精密射撃用ライフル、一旦弾薬が切れると再装填に手間取るマシンガンの射手だけがセカンダリーを装備する。
「あれは追い詰められて再装填できない時の最後の手段だが、意外と使うことが多い。アーマーを強化するより役に立つ。特にM45の夜戦用は期待を裏切らない」シャイニが装備へのこだわりを見せる。
「俺はマグナムを装填したキングコブラ・リボルバーだな。あれも場つなぎにはちょうどいい破壊力だ」ユータスらしい選択だ。
「狭い部屋で長い銃を持っている射手はセカンダリーに切り替えたほうが取り回しが自在だから延命できる」ワイズも意外にもこだわりを見せる。
「参考にさせてもらう」ブリーチャーかライフルマンでの役目が多いイニエガが感慨深げに聞いている。
「うちのカンパニーは黒服とか長物を持てない仕事も引き受けている。そういう場合はアーマーもキャリアーもなしでセカンダリーだけで仕事をする。だからセカンダリーの腕も要求される」ワイズがサイドビジネスでのセカンダリーの必要性を指摘する。
「交渉人の時にはそのほうがうまく行きそうだ。俺がいた時のフルメタル・セキュリティーとは随分と変わったな」ユートスが感慨深げに話を聞いている。
「交渉人ならライトアーマーぐらいは身につけておいたほうがいい。決裂したら銃撃戦は回避できない」シャイニはいつも交渉人のワイズの護衛として重装備で待機している。
ワイズが身長の割に細身なため、ライトアーマーをスーツの下に来ても普通サイズにしか見えない特徴を活かした作戦だ。
更にワイズは長距離走のスピードは並だがインドアバトルでの初速の速さは最もカンパニーで足が速いマークスマンのネイルズとほぼ互角だ。
「同業他社でもずいぶんやり方が違うんだな」シャオリが感心する。
シャオリもまたコンプトンズから脱走同然で転がり込んできたマグベスというライフルマンと連携が取れず苦戦を強いられている。自分の背後に連携の取れないマクベスが居るのは内心不安であり怖くもある。
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