INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.20

伏線はつづくよどこまでも♪ by天然無能

「退院しろって言われたけど、今のアパートに帰るつもりがしない」ハザードが適当な服をユータスから借りてハミットのアパートにやってきた。

「ユータスには嫁がいるしフルメタル・セキュリティーの知り合いの独身ってハミット先輩か3つ下のアユユしかいないんで……」ハザードが頭を掻きながら言い訳をしている。

「要するに数日預かれってことだろ?」ハミットが呆れた顔をしている。嘘でもいいから結婚通知を送っておけばよかった。

「そういうことなんですが……」ハザードが本音を語る。

「まったく、渦中の人が独身男性の家に転がり込んだら僕が変な疑惑をかけられる……」ハミットが呆れている。

「でもアユユは実のところ……信用できない」ハザードが更に付け加える。

「アユユはああ見えてもプライベートはまともだぞ。少なくともお前よりはな。今カンパニー傘下のセキュリティーの固いホテルを確保する。そっち行け」ハミットが後輩を手荒く扱う。

「カネがない……」ハザードが居座ろうとする。

「金利無しで貸しておく。ホテルの領収書はカンパニーに送って請求先はカンパニーに決めてもらう」ハザードは即金で数千元を借りた。

「ところでここに来るのは楽なのだが逆に戻るといつも駅で迷うのだが……」ハザードがいつもの話題を口にする。

「タクシー会社の電話番号ならこれで全部だ」ハミットが一枚の紙切れを手渡す。前にも同期で主席だったピンク・ウルブスのモミージが遊びに来た時に帰り道がわからないと引き返してきたのでタクシー会社表を用意してある。

「どの会社も料金は同じ?」ハザードが尋ねる。

「道路事情による。渋滞しているか否かはお前の運次第だ。まあせいぜい頑張って以下のホテルリストから気に入ったのを選べ」ご丁寧にホテルリストまで用意されている。どうやら相当数の先輩と後輩が宿代を浮かそうと考えたらしい。

「◯印がついているところはうちが警備を請け負っているから株主優待が効く」ハミットが説明する。

「◯印がついているホテルのほとんどがパーク内の星3~5なんですけど……」ハザードがBランクカンパニーの底力に唖然する。このカンパニーの定着率が異常に高い理由はこれか?

思えばユータスとユリウスの挙式も高級ホテルだっただけに出費で苦悩した。ユリウスの時は士官学校生だっただけに給費が全て祝儀に消え、1種正装で出席したのを覚えている。

「じゃあ、お借りした現金で空きを探します。部屋が決まったら電話を入れておきます」ハザードはそう言い残すとホテル探しのアプリを開く。

3つ星のホテルを漁るがシングルが空いていない。4つ星のシングルと3つ星のダブルを比較したら3つ星のダブルのほうが安かった上に長期借りられそうなのでそちらを選んだ。3つ星のほうが優待割引率も高い。恐らくカンパニーの業務用か?

「そこでいいの?」予約を入れた後のハザードにハミットが尋ねる。

「長居しそうだから安い部屋にした」ハザードが答えた。

「ルームサービスに期待しないほうがいい。付属のレストランが不味い。夕食は前のファミレスかファーストフードで済ましたほうがいい」ハミットが忠告する。

「カンパニーのメンバーが仕事で泊まる時はオフィスまで近いからカンパニーの食堂を使うほどだ。まあ、朝食のバイキングとコーヒーだけは許容範囲だが……」ハミットが更に釘をさす。

(夢を見事に打ち砕かれた……オーシャンビューなのに安いわけだ……)ハザードは失意のなかタクシーでパーク内のホテルに向かった。その間にハミットのクローゼットからサイズが小さくなった服をもらった。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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