INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.53

今回はメディカル・パニックです……by天然無能@PO進出です

「ガタン!ガタン!」ハザード一人しかいないはずのバスルームから大きな物音がした。

ハミットが慌ててバスルームに突入する。無防備にも施錠はされていない。何を期待していたのかは知らないが、ハザードが頭を抱えてバスタブから飛び出して床で身悶えしている。

「低体温?」ハミットがハザードの額に触れる。むしろ発熱しているかもしれない。だが、ヒートショックかもしれない。だが、この状況で救急車を呼ぶわけにはいかない。

「ワイズ!」ハミットがポケットの中の耐水スマホを手に取りワイズに通話履歴から通話する。なにせ50回無視して怒らせた相手だ。着信履歴は山程残っていた。

幸い着信拒否だけはされていなかったらしく通話した。

「どうした、ハミット?外れなくなったんだったら俺以外を呼びつけろ!」ワイズは今自分がどこにいるか位置情報で察したらしい。

「ハザードがショック症状を起こして倒れた!ことの後だけに救急車を呼ぶのをためらった!」ハミットが珍しく動揺している。

「位置的には俺のいる分署の管轄だ。通報しても俺が行ってたな。今すぐ救急センターに転送する。そっちから指令が来たら救急車でそっち行く。念のため、毛布で身体を包んでおけ」ワイズの電話が切れ、市消防の救急センターに通話が転送された。

「救命士238番からの転送を受けた担当医です。患者の身分証明IDか医療保険番号をお伝え下さい」担当医の対応は冷静だ。

毛布を片手に持っていたハミットだったが慌ててテーブルの上のハザードの財布に手を伸ばす。幸い身分証明IDと医療保険証明書が入っている。

ハミットは身分証明IDと医療保険番号を読み伝えた。

「最近入院してますし、その時の担当救命士は238番ですから238番をそちらに向かわせます。その間に患者の体温と気道を維持して待機してください」救急センターからの通話が切れる。

毛布の汚れも気にせずにハミットの身体を刺激しないようなんとかそれで覆って体温を維持するも呼吸は交わっている時のように乱れている。

「おい、ワイズ、ご指名の出動要請だ。運が悪いな、分署のエリアでもある。行って来い」司令からやっと許可が出た。運転技術の高い運転手と高層建築物からの搬送に慣れている部下を引き連れここから3分のホテルにパラメディック仕様の救急車が出動した。

「部屋番号を伝える。搬送班は部屋に直行しろ。俺は万が一のためにAEDをフロントで受け取ってからそっちに合流する」車内でワイズが指示を出す。

「アレルギーっすか?」搬送班が質問する。

「アナフィラキシーを否定できないがヒートショックの可能性が高い。どちらにせよ到着時には心肺が落ちてる可能性がある」ワイズが冷静に説明する。

「運転手はエンジン切るなよ、即こちらの機器を使うことになりそうだ」ワイズが運転手に声をかける。

「了解。エントランス前の道路は渋滞中。一方通行の逆走ですが裏通りは空いてます。裏通りに面した裏口につけても大丈夫ですか?」運転士が冷静に運転しつつもワイズに指示を仰ぐ。

「車のことはお前に任せる。搬送班は業務用エレベータで部屋に直行、俺はフロントによってAEDを借りてからそっちに合流だ」ワイズが指示を訂正する。搬送班は親指を立てて答えた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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