INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.32
本日はアメリカ警察ドラマにありがちなハッカー活躍の回です。by天然無能@クソコラで覚えるUSBの英語への訳し方
シナーとハザードの取り調べは続いている。シナーは麻薬の取引場所であった「ディストリクト」に配属されただけでカンパニーの仕事はそれのみだったと証言する。
しかし「ディストリクト」をフルメタル・セキュリティーの情報分析担当のトミーズがクライアント経由で調査したところ所有者が判明する。土地の所有者はカンパニー機構の幹部であり、「マッデス」の名で知られているフィクサーのロスト・エデン特別市身分証明IDと同じ名前である。ただしその身分証明ID自体がロスト・エデンに実在しないことまでトミーズは突き止めている。
「マッデス」が機構幹部である事を知る者はカンパニー機構に今は在籍していない。トミーズだって「マッデス」が所有するロスト・エデンの身分証明IDは偽物だったと知るまでにロスト・エデン特別市内全部のデーターベースを検索した。
その時役に立ったのがカンパニー幼年及び予科学校生でロスト・エデンに両親を残し、給費生生活を送っている生徒のマーケット・ガーデン特別市身分証明ID交付前のすでに失効したロスト・エデン特別市身分証明ID番号である。
これで意外と多くの役所にログインできたあたりロスト・エデンのデータベースのセキュリティーに難がある。
このセキュリティーホールから全区に検索をかけるが機構に登録された「マッデス」本人に一致する人物のIDが出ない。
トミーズは「特別保護ID」とよばれるエリアまで検索した。この時にはマーケット・ガーデン州警察の許可も取得しプロキシサーバの提供も受けての検索だ。
表向きはパーク内カジノでの巨額イカサマ行為ということにしたが「特別保護ID」にも「マッデス」に該当する人物が存在しない。
ここまでの検索内容を全て州警察と州検察に通知したところ両者が頭を抱えている。
「『マッデス』が検索にかからない理由があるとすれば彼の名前が偽名である……例えば犯罪被害者保護のための通名使用対象者か、外国籍通名使用者となりますが、その場合は『特別保護ID』保有の場合が99%とされています」トミーズが説明する。
「さすがは外国籍戦闘員も雇用しているカンパニーだけある。身分証明IDのシステムを熟知しているわけだ……」捜査官が感心している。
「99%には『安全な第3国への亡命者』も含まれる。彼らは『特別保護ID』対象者だしそれを喪失すれば彼ら自身が危険になる」州検察の検事が更に付け加える。
「と、なるとIDの違法売買で手に入れたものか?」捜査官が思考を巡らせる。
「『砂の器』のパターンを疑えませんか?災害等の大量死亡案件で派生した喪失IDを手に入れるパターンです」トミーズが意外な発想を展開する。
「第1説と第2説を組み合わせると『大量死亡案件で派生した喪失ID』を『違法売買して入手する』という犯罪が可能になるのだが?」州検察の検事が自説を展開しつつ恐怖に震えている。
「後は区画整理、ロスト・エデンがかつて行った非特殊技能労働者追放による喪失IDの闇市場への流出、これも疑いの枠に含まれる……」トミーズが意外な盲点を突く。
カンパニーのメンバーにも「非特殊技能労働者追放」でロスト・エデンの身分証明IDを失効していた戦闘員が多数いる。彼らのIDはカンパニー雇用後にマーケット・ガーデン特別市の身分証明ID再発行手続きを取って保証するなど意外と手間がかかる。
「……トミーズくん、公務員2種を受験して州警察に就職してくれ!」いきなり捜査官が勧誘する。
「いや、州検察に欲しい人材だ!州警察より積む準備はある!」検事が捜査官を睨んでいる。
「お断りします。どちらも所得額は熟知していますし、今の手取りより下がるのが確実ですから」トミーズがあっさり言い放つ。確かに先方のカンパニーは所得外利権が非常に大きい。
(優秀な人材を雇えるだけのカンパニーがなんでBaランクに留まっているのか説明して欲しい……)捜査官と検事双方が同じ疑問で納得した。
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