INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.46
今回はイカサマ・サイエンスです(詮索と検索はやめてくれ……)by天然無能@最下位マスコットともにJ1に殴り込み
「今のスピードの肉体と神経、脳構造はかつての彼とはまるで別人だと考えて欲しい……」ワイズがグランデに告げた。
「どういう事だ?」グランデが首を傾げる。
「彼の身体には囚われている間にゲノム変異ウイルスが投与されていた。彼の身体はウイルスの作用で戦闘に特化した形へと変異し続けている。これから更に変異が進行すれば更に戦闘力は増す。今の所昔の彼に戻す方法は無い」ワイズが残酷な宣告をする。
「……本当か?」グランデが恐怖に震え出す。あの怪物ならやりかねない。
「それから俺たちが運んできた航空コンテナ2つの中身は身元不明の遺骨だ。そしてそれがあなたが見た怪物の犯行である可能性が極めて高い。文字通り俺たちは怪物を敵に回しているという自覚を持って欲しい」ワイズがグランデに告げた。
「あ、州警察に送っておいた例の黒革の手帳のデジタルファイルがメールで届いたけど読みます?」ハミットがスマホを手渡そうとする。
「お前のスマホを見たくない。通信でこっちのカードに送ってくれ」ワイズが冷たく言い放つ。下手にフォトアプリなど開けば何が写っているか想像すらしたくない。
(相当ワイズが怒ってるな……まあ、確かにフォトを見られるとマズいというのは事実だが……)ハミットは緊張しながらワイズのスマホに近距離転送でデータを送信した。
「と、いうわけで俺は読書する。悪いが誰かトーマスにスピードの家族の安否確認を依頼しておいて欲しい」ワイズがそう言うと空いている取調室に閉じこもる。
シャイニがオフィスに電話する。トーマスは勤勉だが、営業しながらグルメに走ったり、自宅のスペックの低いPCよりオフィスにある最新型のほうが使いやすいしセキュリティーのレベルも高くて通信速度も早いので、残業の名のもとに仕事道具でオンラインゲームに興じるなど少なくとも15時間はオフィスにいる。
「トーマスさん、今職場ですか?」シャイニがトーマスに電話する。銃声が背後にすることから恐らくシューティングテームをオンラインで遊んでいるところだろう。
「ああ、今戦闘終了した。現在世界ランキング100位内に入ったところ」ゲームパッドを片手にトーマスが返事をする。
「で、なにか用?」トーマスがゲームを終了させながら尋ねる。
「スピードの家族の安否を至急確認して欲しい」シャイニが難題を持ちかける。
「スピードの身分証明IDはすでに番号からデータまで取得済み。そこから家族も割り出せる。至急管轄警察、消防、個人的に契約したホームセキュリティーシステムのログあたりを調べとく。結果が出たら折り返す」トーマスがいとも簡単に難題をクリアーできるとばかりの返事をする。
その頃ワイズは黒革の手帳を読み込んでいるが珍しく内容に吐き気を覚えている。この手帳の持ち主は「勉強会」を開いた教授の物だった。
「勉強会」の目的は「黒い」革命でしか社会を変えられないと考えた教授が自らの親衛隊を結成するために若者を募集したところから始まった。
集められた若者の多くは欲求不満気味の自己顕示欲の高いタイプが多いと教授は分析した。
若者たちの訓練にあたったのはフリーの傭兵達である。彼らは各国政府の正規軍が手を出せない「黒い仕事」を生業にしている者たちだった。
彼らにも彼らの思想があり、「黒い仕事」無しで世界は回らないと若者たちたちを鼓舞した。
0コメント