子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー
若かりし日の魔王ちゃんby天然無能@RPGツクールで素材作ったったー
第3話 禁じられた遊びに興じる日々
服を脱がされたあとは浴室に連れて行かれる。まずは熱めの湯を強い勢いで掛けられる。この仕打ちでまたも泣きわめく者が現れる。
だが足下を見れば理由が理解できる。ありとあらゆる害虫が排水口に流される。周りのものの肌を見たらいたるところ害虫に噛まれた跡が残されている。
自分もところどころに斑点がある。命がけで逃げ続けた日々で相当身体に汚れがたまっていたのだろう。
「磨いてみるとなかなかきめの細かい肌をしている。指の吸い付く感触がたまらない……」下級の魔族が俺の耳元で囁く。多少変なところを探られたがそれはご褒美として割り切った。
「今後は肌を磨き上げたいな……」子供の立場で相手を挑発する。これで相手が乗れば周りの子供との差がつけられる。
「まだここに来てから数時間だぞ?よくもまあ、短時間で覺悟を決めたものだ……」担当の魔族に気に入られたのか、髪の毛を二度洗いされる。妖しい香りのする高級そうな洗髪料を使われて気分がいい。
(あっちの世界にもうすでに未練などないのだが……)内心は数時間前から根性が据わっていたが、それを口に出したら彼の努力を無視する非礼というものだ。
「その調子なら捨てる恥もあるまい。なんだったら人を引きつける香油でも肌に擦り込んでおこうか?」担当の魔族が自分の変化を楽しんでいる。
「ええ、汚れた匂いを消したいので、是非」率直にそれを求める。あっちの世界の泥と血と汗の混じった不快な匂いなどさっさと捨ててしまいたい。
「相当、嫌な出来事しかなかったようだな……」担当の魔族が自分の肌に食人樹から採取した香油を染み込ませる。無論、希釈はされているが自分でもその香りに引き込まれる。
「ええ、ここでは半日近く命の危険に晒されてない。それが物心ついてはじめての出来事だとすれば、いかに悪い出来事しかなかったか?ご理解できるはずでは?」魔族のプライドを容赦なく煽る。媚びているわけではない。未来のある世界へのリップサービスだ。
「出来すぎた子供だ……自分は人間を捨てるのに1年は泣いていた。自分が変わるのに無駄な抵抗を試みた。他の者は今もまだ故郷に帰りたいと泣きじゃくっているというのに」魔族の男が自分の過去を振り返る。
「自分は決して後戻りしないし出来ないことはわかってます。むしろ早くこの世界に馴染みたい……」自分の本音をぶつけた。
「向こうの世界に産まれてくるべきではなかったのだろうな……普通はこの世界の魔性に無意識に恐怖して泣き叫ぶのだが?」魔族の男が耳打ちする。
「自分には全くその感覚がないです。魔性という雰囲気も感じない」率直な感想を吐露する。
「あの香油がもう身体に馴染んでいる。肌に艶が出てきたあたりもうすでに魔性に相当冒されたな……まあ、数日で魔性を発する側に転じるだろう。大物だ……」魔族の男が自分の瞳を見つめている。暗がりで輝きを放つその眼光に憧れている自分はやはり他人とは異質なのだろう。
それから数日は蒸し暑い部屋で裸のまま両手、両足を寝台に縛り付けられ身体を開かれた。向こうからは全裸の自分が見えているだろう。だがその目線以上に全身が闇が発する魔性にみたされる感覚が毒のように駆け巡っている。余計な服などないほうが毒が回って気が晴れる。恐らく表情にも出ているだろう。
無意識のうちに魔性という毒を嗜む自分の姿を……
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