子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー

若気の至りからか将来魔王となる少年が黒塗りの大人に追突してしまう……by天然無能@YouTubeホラー探索隊

第4話 魔王の初夜は突然に

「全く恥じらいもしない……余程その服がお好みのようだな」新たな調教師が俺を眺めている。

「ええ、気に入ってます。この雰囲気という服が」笑いながら俺が答えると調教師が俺の肌に指を這わせる。流石にまだ俺は子供だ。くすぐったさだけで笑ってしまう。

「笑っているうちはまだ子供だ……」一番うずくはずのところを触られてもまだ違和感を感じない。

「今のところはまだまだだ……食事の時間だ、服を着ろ」与えられた服は布に頭を通す穴が開けられ、腰の部分を紐で縛るだけの簡素な服だ。下着は一切与えられない。

「さあ、これからお前らの食事はこれだ」眼の前には短剣と魔獣の巨大な肉がよく焼かれた状態で串刺しにされて置かれている。

俺は短剣を手に取ると肉の筋目に合わせて一口サイズに切り取った。他の者は戸惑っている。こういう食べ方を知っている自分の素性が知れそうだ。

そう、俺は食器を使って物を食べるなんて礼儀を学ぶ間もなくその日暮らしの流浪生活が始まった。

短剣があればそれで獲物を捌いて少量ずつ分前に預かる。それが野生の流儀というものだ。

「粗野なようでいて礼儀をわきまえている。蛮族の出か?」調教師が俺の出自を尋ねるが俺自身がそれを知らないのだから答えようがない。

「肉の前に短剣があれば必要な量だけを切ってからそれを口にする。その礼儀はこちらの世界でも共通なようですね。あ、出自については『放浪者』としか知りません」俺は知りうる限りの答えをした。

「まあ、外で仕留めた獲物を前に食器を出すのは時間の無駄だ。だがあの連中がその流儀を知るまで相当かかりそうだ……」調教師が修羅場と化した食堂を見つめている。

俺だって目を疑う。連中は短剣の存在を無視して肉に食らいついている。

(見苦しい……)率直に嫌悪感を抱いた。

「まだ食い足りないか?」調教師が尋ねる。

「い、いや……ただ……」俺は食堂から目をそらした。

「先に風呂にでも浸かってろ。あの連中には一から流儀を叩き込む……」調教師がタオルと湯冷め防止のローブを手渡した。

ここの風呂は他の連中がいないと泳げるほどの広さだ。そこで全身を伸ばして湯に浸かる。やっと虫刺されの跡が薄れているのが朧な魔法の光でわかった。

これで長年悩んていた虫刺されの痒みからは開放されそうだ。

丹念に身体を洗い清める。香油が落ちるのが惜しいが毎晩入浴できる日々は貴重だ。

ついでに髪も丁寧に洗っておく。余程丁寧にブラシを使われたのか指が頭皮全体にしっかりと届いている。

気分良く身体の水滴を肌触りの良いタオルで拭う。髪の毛は手荒に拭いておいた。

バスローブを身にまとい戻ると調教師が何かを企てている笑みを浮かべている。

それが自分の初体験の幕開けだと気づくのは数分後のことだった。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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