子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー

半日間マリリン・マンソンのCD(爆買い)をリッピングしたおかげでうなされてますby天然無能@今度はモトリー・クルーのリッピングが……(泣)

第9話 魔王が久しぶりに真面目な生活をする話

「他の連中がゲートルを巻いている間に、こっちはすでにいろいろな巻き方を試しているのだが……」若き日の魔王にしてみればゲートルを巻くなど人を心地よく縛るより遥かに容易なことである。

他の者が一段巻きに苦戦している間に足首の動きに合わせてひねりの位置を調整するなど数通りの巻き方をすでに終えていた。

「狩人の出か?」あまりに俺がすばやくゲートルを巻いてはほどきを繰り返しているのを見て教官が尋ねてきた。

「いえ、違います。ただ前の奉公先で梱包の仕方を身につけただけです」人を梱包する方法を説明されながらそうされていたなど誰が口にできようか……

「まあ、荷崩れは怖いからな……商家に売られたのか?」教官が尋ねる。そもそも自分がゲートルの縛り方なる教本を読んでいる時点で違和感を感じてほしいものだ。

「日銭を稼いでいただけです。出自が貧乏だったので」ここは話の流れを変えたい。

「身体を売れば荷役などせずにたやすく大金を稼げたはずなのに……」俺を舐め回すように見ながら教官が言ったが、そっちが真実に限りなく近い。ただし利益は得ていたが、現金は一切受けて取っていない。

「あの連中はあと一週間掛かりそうだ。模擬戦闘訓練コースに中途編入しても構わないがすでに相手は相当経験を積んでいる。痛い目に会うのを覺悟でそっちに進むか?それとも兵站部門に進むか?」教官が聞いてきた。

「最初にやり込められても反撃する意志はあるので模擬戦闘訓練を選択します。荷役は正直あまり好きな仕事でなかったので……」荷役に進めば嘘が発覚するのは目に見えている。と、なれば前者を選ばざるを得ない。

「相当な向上心の持ち主だな。まあ、一年近い差があるのを覚悟しろ。向こうはすでに基礎訓練終了寸前だ。いきなり目隠しして戦う技術の過程だが?」改めて教官が尋ねてくる。

夜戦は得意ですなどと口が裂けても言えないが、夜中に悶えてベッドから落ちるような失態は一度たりともしていない。

今から考えると目が見えなかったのに状況と相手の動きを理解していたのは謎である。それほど夜のお遊びでは感覚を研ぎ澄まして快楽を追っていたのか?

「自分は人間から魔族に変じた者です。むしろ見えない方に感覚が慣れている方でしょう」一応それくらいは伝えておく。

「では明日からは木製の短剣で目隠しして相手を仕留める訓練だ。まあ、剣の使い方も学ばずに目隠しされた状態で戦うとは無謀だと思うのだが?」教官が明らかに俺が挫折すると思っている。

「夜中に突き回されるのには慣れてます……」など拷問されようが自白しない。

翌朝からはその「ブラインド・ファイティング」たる目隠し戦闘の訓練に合流した。まだこの時点で革鎧などは与えられていないようだ。

相手は俺より数年は年上らしい。体格もかなり大柄だ。と、いうか俺の身長がこれ以上伸びることはなく、69インチで止まってしまったのだ。最低でも72を超えて歩兵に進みたかったが断念するはめになった。

軽装で歩兵の取りこぼしを仕留める予備歩兵でも70が必要だ。となると弓兵か伝令。相当努力して騎兵を目指すしかなさそうだ。

少なくとも出世から一番遠い兵站にだけは進みたくなかった。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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