子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー

第15話 魔王が劇場支配人にスカウトされた話

外出許可が出るようになり、教官からのアタックも激しくなる。俺が誘ったわけではないのだがどうも容姿で引き寄せてしまうようだ。同時多数を相手にすると災いの種だ。ここはあえて外に出る。

訓練所のある街は軍の拠点でもある。街も相当にぎわっているが軍人の集まる街だけに雰囲気が殺気立っている。

途中下級兵士が俺に値段を聞いてきたがその無礼さに油断と隙だらけの相手の腰のショートソードをさっさと抜いて突きつけた。が、俺に言わせれば手入れされいない錆びた刃こぼれだらけの剣を抜いて突きつけた自分自身が恥ずかしい。

なお、下級兵士たちはこれを見て蜘蛛の子を散らすようにその場から消えた。俺の手にはあの恥ずかしい剣が残されたが、さっさとゴミ箱に投げ込んだ。

その経緯を見ていたのが「劇場支配人」である。劇場と言っても服を脱ぎながら男を興奮させるとか、かしこまった演技をする場ではない。要するに闘技場だ。俺の容姿が目当てだろうが……そこは生まれつきの利点として大いに利用させてもらう。

劇場支配人の話をまずは聞いてみることにした。軍に属している以上、現金報酬は受け取れない。と、なると用具支給を要求したほうがいいようだ。

用具支給契約を受けるには武器なし戦闘第1回戦を勝つことが必要だ。武器なし戦闘が第1段階とはずいぶん敷居が高い。だが、これでブーツは手に入る。しかも戦闘用のものだ。等級が上がればもっと良質なものが手に入る契約で武器なし戦闘部門に参戦することにした。

俺の場合はすでに予備兵なので、特殊弓兵訓練と体力向上訓練の間にオプションで組み込めるという。そう、自分はすでに正規兵扱い。年齢の問題で予備に回されているだけだ。

教官団との交渉は支配人に依頼した。これで破談になれば支配人の手落ちということを契約にも盛り込んだ。こういうところは詰めておかないと後日の厄介事になる。

その日は劇場で武器なし戦闘を無料で見させていただいた。

パンチ一発を狙うより、相手を捕らえて連打か絞めを狙うほうが確実に倒せるという印象だ。

1回戦レベルではカネに困ったゴロツキが戦い合っているという印象だ。1勤務期前に除隊させられるような類の連中なのは特徴で理解できる。

まず、戦い方が鍛えられていない。何事にも場当たりで向上心のかけらもない。やむなく兵務につかせたが、どちらかが捨てた素材だ。俺の踏み台にするにはちょうどいい。

第4回戦でやっと訓練終了者と戦えるレベルだ。武器なし戦闘の教官を夜に落とせば4回戦はクリアできるはず。もしくはその必要もないのかも……負けた時に考えればいい。

これを本業にするつもりはないが訓練過程の時間が余っている。今の時間割で学術を組み込んでも2年10ヶ月、余り1周間としても週休3日という状態だ。

休日1日分を訓練の補習として参戦するのは自分の持ち手を増やす絶好の機会だと教官を説得するよう支配人には告げてある。

こうして劇場での戦いをじっくりと観察した。楽しいというより戦い方の1つとして見ていた。あとは夜のお遊びに応用できそうな技もちらほら見受けられた。途中で絞め技で感じさせれば相手も驚き悦ぶだろう。

そっちにも頭が向かっている俺の色狂いはそういう年頃とはいえもはや病気だ。

結局その日、俺は兵舎に帰って食事はそこで済ませた。払える範囲の料理より兵舎の食事のほうがマシだと判断したからだ。

外出不許可組と食事をしているが、この連中の何人が訓練を終了できるのか……相変わらず短剣の使い方は下手だし、肉を台無しにする切られ方をされてはその後に肉を切る俺の苦労が増えるだけ。まあ、あとから短剣を渡されたのが俺だったから肉が整ったのだ。全く手のかかる連中だ。

肉を頬張りながら武器なし戦闘の教官と遊んでみようかと考えた。さぞかし楽しい夜が過ごせそうだ。夜の絞め技を考えるだけで鳥肌が立ってくる。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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