子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー

今日は子供に大人が妄想を抱く話ですby天然無能@blender手詰まったったー!

第16話 魔王の訓練風景が教官の共感を買う話

今のところ訓練は順調……ではない状況だ。幸いゲートルを丁寧に使っていることから余りを切って手に巻き付けてバンデージ代わりにしているが、やはり弓兵用の手袋が欲しい。

ただしあの手袋は値段が高い。数カ月分の給料に相当する。だが特殊弓兵の的は一般弓兵の倍以上の距離にある。そう簡単に練度が上がるほど生易しい訓練ではなかったのだ。

今の時点では的の黒円には命中している。だが、敵将を打ち取るには黄色円以内のヒットを確実に決める精度が必要だ。

流石に人差し指、中指、親指の指紋が消えている。出血する前に布を巻いて指を保護しているが射ちづらい。

「まあ、焦るな……指先を痛めてまで入れ込むな……」さすがの担当教官も呆れている。

「黒円に確実にヒットできたら休みます!」もはや俺のプライドが指先の怪我でギブアップなどということを許さない。

「しかし、包帯を巻きながらよく的に確実に当ていているものだ……まだ3日目だというのに……」教官がため息をつく。普通は1ヶ月練習してあの距離の的に10本に1本でも当たれば合格だ。

体力トレーニングでも相変わらず、昼間は異常なまでに真面目である。腕立て伏せの石版はまた一枚増えているが本人にはこれでも足りないようだ。

ランニングの距離もすでに斥候兵科合格レベルなのだが今度は速度にこだわって走り込んでいる。

「あの予備兵は訓練で死にたいのか?」教官団も心配する。

「あれほどやりこまないと夜が辛いとか?」この教官は自分をひたすら追い込む姿に変な気を起こしているようだ。

「……訓練後の疲れた顔がまたそそる」別の教官もどう夜戦に持ち込むかだけを考えているようだ。

「俺の心が射抜かれる……美しい……」更に別の教官までもが戯言を言う。

実際、彼の射撃フォームは美しい。それは弓の指導教官でも感じることだ。あれほど練習しても腕が曲がらず背筋も通ったまま狙いを定めている。弓を引いたあとの留めている時間も完璧だ。

あの射ち方をするには相当な筋力と体力、根気を必要とする。

だが翌朝には何もなかった顔で訓練を開始しているのだ。

しかし本人は相変わらず訓練兵との食事にうんざりしている。

「テーブルマナー教官をなぜ置かない……」相変わらずの食い散らかしぶりに腹が立つ。

その頃教官用の食堂ではくだんの予備兵の話で盛り上がっている。

「あの標的を殺しにかかってる顔が夜にどう変わるか……想像するだけで萌える……」完全に教官は煩悩に取り憑かれているようだ。

「夜は夜で殺されそうな顔をしているんじゃないのか?なら余計そそられる……」やはりあの妖艶な顔立ちの乱れるところに思考が向かう。

「一度泣かせてみたいものだ……別の啼き声でも構わないが……」この教官もやはり夜のほうが気になるようだ。

「夜中に誘って乗るかどうかだ……他の訓練生は泣きついてこっちに身体を売るが、今の所その気配はなさそうだ」実は落ちこぼれ組の中には身体を売って楽な兵科の訓練過程に転向する者が多い。

無給と外出禁止期間に耐えられず「抱いてください」と懇願する者も少なくはない。

教官も事情が事情だけに夜は暇である。規則を破る勇気があればそこにつけ込んで休暇前に無料で遊んでおきたいという欲はある。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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