Downfall The Empire of Tahjimar
最後の部分がGENERATIONS from EXILE TRIBEのRun This Townの歌詞をまんまパクっていることは忘れてくれ……
第10話 Run This Town(その2)
アノマツが無言でバスタードソードを振り下ろす。圧倒的な速さで繰り出された魔剣がジョニーの身体を切り裂いた。
声を上げることすらできないほど深くジョニーの上半身は切り裂かれ。傷口からはいくつかの内臓が飛び出した。
ジョニーは瞳孔を完全に開いて地面にそのままひっくり返って絶命した。
アノマツは返り血を浴びないよう、斬った直後にジョニーからかなり離れていた。絶命したことはジョニーの意識が消えたことで確認した。
残りはジーナを強奪することだけだ。
旅の戦士の姿に戻ったアノマツはちょうど夜闇に閉ざされた通りを歩きながらジョニーの家へと向かった。
ジーナの目は泣き続けて腫れている。身体も痛むようだ。
「ジーナ、大丈夫……じゃないよね……」アノマツがジーナに声をかける。
「あ、あんなゲス男消えてしまえばいいのよ!」ジーナはそう叫ぶとアノマツに駆け寄り胸に顔を埋めた。
「彼はもうこの世界にいない……」ジーナの髪を優しく撫でながらアノマツが告げた。
「えっ……どういうこと?!」ジーナがアノマツを見つめている。
「邪魔だから消してきた」アノマツがニコリと微笑みながら恐ろしい一言を放った。
「消した……って……殺した……の?!」ジーナの身体が恐怖で震えている。
「君はそう望んだはずだ……違うか?」アノマツがまだ微笑んでいる。
「た、確かに……そう……だけど……」叶えてはいけない望みが叶ってしまった。ジーナの頭が真っ白になり思考停止に陥った。
「俺は欲しいものは必ず手に入れてきた。君の欲しいものも全て手に入れてあげる」アノマツが耳元で囁いた。
「手に……入れるって?!」ジーナが震えながら尋ねる・
「俺が欲しいと思った時点で拒否権はない。君を俺の世界に連れて行く。さあ、家の外に出てもらおうか……」アノマツに瞳を見据えられ、恐怖の中、促されるまま家の外に出た。
次の瞬間、アノマツの本当の姿を見た。漆黒の鎧に身を包んだ3m近い身長の悪魔、それがアノマツだ。
アノマツの鋭い鉤爪をむき出しにしたガントレットがジーナを優しく抱き寄せる。
「怖くないわけがない。でももう君を苦しめる全てを見ることはない」恐怖で身体が凍りついたジーナを抱えてアノマツが大きな翼を広げて飛び上がる。
「疲れているんだろ?抱え続けるからゆっくり身体を休めればいい」身体の大きさが変わってもアノマツの優しい声は不思議と変わらない。
声と相反する恐ろしい姿。だがあの絶望しか無い街にいても空虚な未来しか残されない。新しい世界の未来を掴み取るほうが多少の希望は残される。ジーナはそう思い始めたら胸が踊り始めてきた。
そして悪魔のやさしい手と胸に包まれながら瞳を閉じて彼の世界にたどり着くのを待ち続けた。
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