Downfall The Empire of Tahjimar

BGMが「恋のマイアヒ」な自分(\横浜優勝/のまのまイェイ♪)

第17話 暗黒の王子が暗黒魔術師の闇を食い尽くす話。

翌朝アノマツは祈りを捧げ終えたカヘナシを聖堂の壁に押し付けた。

「帝国の暗黒魔術師が『暗黒の魂』を量産している場所を告れ」アノマツが邪悪な笑みを浮かべながらカヘナシに尋ねる。無論頭の中も探られている。

「嘘はつけないものだた……奴らは自分たちで破壊した世俗派の都市『テセコイ』の廃墟で謀反人を処刑し続けている」カヘナシもアノマツの意図を読み取った。飢えた妻と子供のために闇の力を他から奪ってそれを与えようとは……。

「意外と近いな……」アノマツはテセコイの位置は知っている。かつての帝国辺境軍の補給拠点にして商業都市。そこを帝国聖職派が破壊して処刑場にしているというのか……

「昔のテセコイとは勝手が違う。周囲の森には無意味な肉の塊が徘徊して他の生き物を捕食している」カヘナシが忠告した。

「魔術師が森の中にいるか?どうせ城か城下町の廃墟で処刑しているんだろ?肉の塊は奴らの城壁代わり。違うか?」さすがは城攻めの達人だ。すぐに魔術師の防御方法を見破った。

「危険な奴らの集まりだ。その巣窟に言って無事に済むと思っているのか?」カヘナシが策なくしてアノマツが向かわないよう釘を刺す。

「『暗黒の魂』を作っているんだろ?その間に自分を守ってくれる眷属は何をしている?」アノマツが笑みを返した。

「気付いたか……そう、奴らの眷属は檻の中の獲物に憑依して上質の食事に没頭している。それに魔術師への忠誠心もない。お前と戦うより魔術師をくれてやるほうを選ぶだろう。奴らにとって好みの部分をすでに枯渇した魔術師はすでにゴミも同然だ。お前にとってそのゴミこそがご馳走だが……」カヘナシが嬉しそうな顔をしている。

まさか俺がカヘナシの復讐者となろうとは……

「話をしただけで美味しすぎる話だ。あらゆる意味で……」アノマツがしてやったりという顔をしている。この男は心の中の闇だけを求め、それだけをいとも簡単に奪い取る。

「夜中に本物の俺が奴らを奪いに行く。俺を見るなり怖じ気づくだろうな……」アノマツが笑っている。カヘナシだって眷属不在の魔術師の脆さは知っている。百戦錬磨のアノマツならなおさらだ。

眷属が不在の時、魔術師は暗黒魔法を使えない。つまり攻撃手段は手にした杖でアノマツに殴りかかるだけだ。自分の身代わりになってアノマツの攻撃を受けてくれるものも不在。守ってくれるのはなにもない。

最後の段階で頭蓋骨をへし折って魔術師の脳を物理的に破壊することがなければアノマツは魔術師の頭を掴み取りいとも簡単に心の闇の捕食に成功する。

「本気……だよな?」カヘナシが尋ねる。

「ああ、やるとも。俺が初めて奪われることで飢えているんだ……」アノマツが強い眼光でカヘナシを見つめている。

「まあ、楽しみにしていろ……俺は闇の力を持ち帰り、彼女と自分の子供に奪わせる喜びをじっくり楽しませてもらうだけだ」アノマツがそう言い残し立ち去った。

その夜、巨大な羽ばたきがテセコイの町を襲った。その晩だけで帝国屈指の暗黒魔術師が数人、闇の力を奪いつくされ、あれほど好んでいた闇に恐怖して叫んでいる。

この異変の原因を帝国側は未だに知らない。帝国世俗派の呪いだとさえ信じ始めていた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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