Downfall The Empire of Tahjimar

今回はエロいです……

第16話 暗黒の王子が捕食を真剣に考え始めた話

カヘナシの恐怖と狂気を喰って満足していたアノマツに意外な落とし穴が待っていた。

アノマツはジーナの待つ部屋に戻った。宿坊から追い出された今は神殿のそばの屋敷をあてがわれている。

眼の前に邪悪な光を放つ石があるのが不愉快だったのでカーテンを即刻購入した。戦死したマンティコアの翼の革を使った遮光性の高い一品だ。

「ねえ、キスしたことってある?」ジーナが唐突な質問をした。

「……そういえば、記憶にないな」アノマツが率直に答える。

「して欲しい……」ジーナがいきなり求めてきた

「どういうこと?」アノマツが戸惑っている。いきなり舌を入れて相手の舌を絡め取っていいものか?

「よくわからないけど……ね?」ジーナが腕を絡ませてくる。

「わかった。初心者だから多少の失礼はあるかも……」アノマツがジーナの心を読みながら唇を軽く合わせた。

彼女の鼓動の高鳴りとともに彼女に自分の唇を要求してくる誰かの気配を感じている。

そう、ジーナとアノマツの間の子供だ。ジーナの内側から闇の力を強烈に求めている。

その子供がアノマツが喰ってきた恐怖と狂気を求めてジーナに接吻させ、その口から食わせろと求めているのだ。

アノマツの子供もまた恐怖と狂気を好む悪の素質を引き継いでしまったようである。ジーナの長年抱えてきた恐怖と不満、そして憤怒もまたあの子供の生命力の一部だ。

恐ろしいほどネガティブな子供が自分のご馳走を強奪しようとジーナを操っている。いや、ジーナもまたそのネガティブな子供の影響を受け始め、恐怖と狂気を自分の唇から味わおうとしている。

唇を合わせた後、アノマツはジーナの唇の開かれたところを舐め取った。舐め続けているとジーナの口が開いていく。これでは舌を奥まで入れてくれと言わんばかりだ。

舌を差し入れると、その先端にジーナの舌がすぐに絡みついてきた。舌先から先程カヘナシから喰ってきたご馳走が抜き取られる。だがその感覚がまた心地よい。

奪い取られるということを初めて知った。そしてその甘美さに酔いしれた。

奪い取られたらたら他からまた奪えばいい。

最高のご馳走は濃厚な接吻の最中にお互いが絡めた舌を通じて全てジーナとその子供に奪わせた。

しばらく唇を合わせ湿った音を立てて互いを絡ませる。一通りジーナと子供に餌付けした後、舌をそっと自分の口に引き込んだ。

唇を離すと二人の間に糸が引いた。それをみて二人で赤面した。

「ありがとう、アノマツ……」ジーナが満足そうな表情をしている。ジーナも闇の味を覚えたようだ。俺は奪い取られる喜びで胸が高鳴って抑えられない。

その夜はどうジーナと子供を満足させるだけの恐怖や狂気、苦痛と言った闇の力を自分が捕食するか思案した。

そう、カヘナシをあれほど苦しめる帝国の暗黒魔術師を餌食にすればいい。特に「暗黒の魂」を生み出す儀式の最中にはレネゲードは檻の中の人間の理性を食い漁っている。レネゲードの守りを失っている奴らなどいとも簡単に獲物にできる。

闇の力の奪い方を教えてくれたのがカヘナシだったのが皮肉だ。魔術師の頭を鷲掴みにして好みのものだけを奪ってその食い散らかされた残飯をレネゲードに与えてやろう。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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