Downfall The Empire of Tahjimar

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第15話 暗黒の魂のたどり着く終着点

「なあ、カヘナシ……『レネゲード』の残飯の『暗黒の魂』は肉体を失った後どうなるんだ?剣で斬り殺すと炎になる。それは100年以上前にしっかりと見た」アノマツが恐怖と狂気を食い尽くし冷静さと理性だけを残しておいたカヘナシに尋ねた。

「結局、最寄りの悪魔にその残渣は食われて消える。それだけだ」カヘナシが答えた。

「ほお……まあ、邪悪な本能だけの存在だ。悪魔にとっては美味だろうな……」アノマツの率直な意見だ。良心や理性など喰ったら自分なら即刻吐き気を催すだろう。

「よく人間性など喰えるものだ……不味そう……」アノマツが本音を語る。

「お前ならそう答えるだろうな。恐怖と狂気を喰った後のお前の顔は美味いもの喰って満足した表情をしていた。俺にはお前がわからない。他の悪魔は逆に人間性や愛とか幸福を喰って喜ぶというのに……」カヘナシが悪魔学の常識を語る。

「……俺って変?」アノマツが自分の顔を指さして尋ねる。

「変ではないが稀な存在だ。タバコの燃えている方を嗜むようなものだ」カヘナシがわかりやすく説明する。

「……それ、俺がガキの頃に先輩たちに勧められて吸おうとしたら口の中に火がついている方を突っ込んで火傷した。皆に笑われてからタバコを見るだけで腹が立つ」アノマツが本気なのが頭の中に入り込む。

「あと俺の黒歴史だ。粋がって刺青入れようとしたら傷がどんどん治っていって数時間彫り続けたが失敗した。彫られている間は痒くて涙が出た。俺の秘密を知った彫師はその場で消した」アノマツが苦労話を口にする。

「彫り師はとばっちりもいいところだ。まさか根性焼きしようとした先輩も消してないだろうな……」恐る恐るカヘナシが尋ねる。

「嘘のつけない相手だから告る。数人はその場で消した。遺体は城壁から投げ捨てた。俺の肌から数分で根性焼きが消えた時から恐怖で顔が凍ってた。胸糞悪いから身元不明になるぐらいフレイルで顔を潰して捨てた」アノマツが先輩殺しまで自白した。

「……その……お前ってひどくくだらない理由で大勢消してないか?」真実だっただけに聞かされた側としては呆然としている。

「ああ、それが仕事だったからな……魂は暗黒の神々の下に送られたんだろう。ひょっとしてそのご褒美で今、俺が悪魔やってるの?!」アノマツが人並みの頭を使って考え込んでいる。

「素質には恵まれすぎている。いや、人間が不向きで悪魔向き。多くの悪魔は人間向きで悪魔が不向きだから幸福や愛を喰ってそれを思い出そうとする。だがお前は狂気や恐怖、他人が嫌う感情を好んで思い出そうとする。なぜならそれが生まれつき好きだから。まさに鬼畜そのもの!」カヘナシがアノマツについて語る。

「そっか……他の悪魔は人間向きなんだ。知らなかった。そういえば俺は生まれつきの異形で傭兵団に殺しと破壊を生業にするために育てられた。生まれも育ちも人間より悪魔に近かったのかも?」アノマツが変に納得している。この男、よく人間社会でやっていけたものだ。

「『暗黒の魂』を屠った時どう感じた?」カヘナシが恐る恐る尋ねた。

「あの狂気の刃を向けられて興奮した。でも斬った後に跡形も無くなってて達成感が得られなくてつまらなかった。俺は殺しの後の屍の山を見て戦果確認するのが好きなのに……」アノマツが表情も変えず告白する。

「その……悪いという自覚を持って素直に認めるお前の図太さが羨ましい」カヘナシが変に羨望の眼差して見つめている。

「だからタジマールとやらのどす黒い魂なんて俺にしてみれば最高のご馳走だ。奴が俺を恐れて逃げ回った末に発狂したら……想像するだけで切り刻んだ瞬間に最高の達成感を味わえそうだ」アノマツが偽りなく欲望を語っているのがカヘナシには理解しがたい。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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