Downfall The Empire of Tahjimar

ゲーム付属のチャットとメーラー(日本語版)で英文を送ったら全部先方で文字化けしていたらしい(泣)

第14話 司祭の怒りが色ボケ悪魔の頭を引っ掻き回す

「ところでカヘナシ、なにか俺以外のことで嫌なことでもあったのか……苛立ちが頭に刺さって辛いのだが」色ボケ悪魔のアノマツでもカヘナシの苛立ちが否応なしに頭の中に入り込み暴れている。

「苛立って当然だ。帝国宗教派は世俗派と組んだ全ての勢力に制裁した。皇帝タジマールは手下の暗黒魔術師を使ってレネゲードを囚われた世俗派とその支援者に憑依させ、その魂を食い尽くさせた」カヘナシが怒りを抑えて告げた。

「悪魔に憑依されて魂を食い尽くされると『暗黒の魂』なるというのは100年以上前にすでに知っている。本能しか残されず、殺した獲物を食い続ける人間の姿をした肉食獣、違うか?」アノマツが100年以上前の戦いを思い出す。村人を皆殺しにしたアノミツらは食料や消費財をくまなく漁ったが生活の役になりそうなものは一切見つからなかった。

出てきたのは村に迷い込んだ犠牲者の遺品と遺骨の山だ。見つけた時は人間時代から殺しを好むアノマツでも呆然とした。

「俺が帝国の出身でないことは知っているよな?」カヘナシが怒りを押し殺してアノマツに言う。

「ああ、異邦人だとは聞いている。もっと文明的な国の生まれだ」アノマツに不吉な予感がよぎる。カヘナシの怒りの原因は彼の故郷にあるのだろう。

「俺の故郷は帝国世俗派を支援した。その結果……」カヘナシが押し黙るとともに自分にとっては恐怖を催さないが常人ならば恐怖に卒倒するような残酷なイメージが送り込まれてくる。

上級悪魔のアノマツでさえもこのイメージが頭痛を引き起こす。

人々が「暗黒の魂」にさせられて暗黒魔術師の操り人形と化した帝国兵士に囚われる。彼らは檻に閉じ込められ、同じ檻の中にレネゲードを召喚される。レネゲードに抗う人々だが、憑依されてからは魂を食い尽くされ、意味を成さない肉の塊と化すか、理性を奪われた「暗黒の魂」の列へと加えられる。

犠牲者の肉体の中に入り込んだ悪魔によってもたらされる恐怖と狂気に苦しみ絶叫し続け最後は感情さえ破壊され尽くす。

「落ち着けカヘナシ、司祭でも人間の耐えられるものじゃない。さっさとこっちに寄越せ!じゃないとお前も魂を失うぞ!」危機感を感じたアノマツがカヘナシに向かって罵倒する。

これで怒りが収まればいいのだが……

「……すまない。抱えていた思いを押し付けた」カヘナシが膝をついて疲れ果てている。

「いや、俺は大丈夫だ。全部背負っても傷つく心を持ち合わせていない。そんなもの生まれつき持っていないし、暗黒の神々の世界に行っても何もおきなかったほど俺にはその……失うものを持ったことが今までなかったんだ」アノマツがカヘナシに告げた。

「お前はジーナを手に入れた。それでも失うものがないとでも?」カヘナシが涙ながらにアノミツを罵る。

「俺が生まれ持ったものは本能と欲望だけだ。後は全て奪い取って手に入れた。だから失えばまた奪えばいい。そう、俺は生まれつき悪魔同然の魂しか持ち合わせていない化物だ。だから俺に全て押し付けろ。その恐怖と狂気は俺を本気で喜ばせる。だから全部よこせ。欲しいんだ!」アノマツがカヘナシの頭を押さえつけるとその頭の中を駆け巡る恐怖と狂気全てを奪い去って貪り食った。

人間の魂を切り裂く程の恐怖と狂気が心地よい。戦場で他人の恐怖と叫びを求め、追い詰めるあの瞬間の楽しみが繰り返される。

「やっぱり俺は生まれながらの邪悪だ。お前の恐怖と狂気を喰って最高に気分がいい。恐怖と狂気は全部俺に押し付けろ。俺にとってはそれが悪魔としての力になる」アノマツが茫然自失とするカヘナシの髪を撫でながどことなく優しい眼光で見つめている。

「暗黒の神々よ、感謝します……」カヘナシが祈りを捧げた。やはりアノマツは自分の仕える神の使い。救われた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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