Dungeons & Badlanders Episode 4

題4話 亡者に囚われて

キャラバンの護衛隊長マティアス・エフタング・メレムは亡者の迷宮に囚われていた。他の者たちは今は死霊(レイス)か死霊に肉体を動かされている亡者(ワイト)、その他は遺体にされたあと負の生命力を吹き込まれ、ゾンビとして復活した。

ゾンビは意思を持たず、日光に唯一耐える亡者だ。ゾンビを破壊された地下迷宮に潜ませて、もう一つの迷宮の持ち主である、マスター・ヴァンパイアが笑っている。

「最初の吸血の気分はどうだ?」マスター・ヴァンパイアが笑っている。

「身体が……だるい……」マティアスは倦怠感を覚えていた。

「じっくりと時間をかけてお前を立派なヴァンパイアにしてやる。食欲だけで血を吸うヴァンパイアは必要ないからな……」マスター・ヴァンパイアの青白い肌が魔法のクリスタルの放つ光でチラチラと見ええいる。

マティアスは吸血の瞬間を覚えていた。マスター・ヴァンパイアが上着を脱がされ、肌を晒された胸に手を触れた時、死のちからで触れられたところが壊死してどす黒い穴が空いた。

不思議と苦痛はなかった。その穴にマスター・ヴァンパイアが唇を押し当てて体の中の血とともに生命力を吸い出していく。徐々に気だるさとともに意識が薄れていった。

しばらく恍惚としていたが気がつくと黒い穴は表表面に印だけ残してふさがっていた。

穴を塞いだのはこの空間を満たす死霊の力だと聞かされた。死霊の持つ負の力に癒やされることの繰り返しでいつしか負の生命力に満たされたヴァンパイアへと変わるのだと……

「暗闇の中の永遠を楽しめ」マスター・ヴァンパイアはそう言い残すとこの部屋に自分を取り残した。堅固な扉、死霊の監視で逃げ出すことは無理そうだ。

マティアスは暗闇の中、恐怖と絶望より疲労感に負け、眠りに落ちた。

マティアスの身に最悪の事態が起きている時、セヴェリアン率いる騎兵たちがイアドスに戻ってきた。


「アクロン様、廃墟に異変がありました!キャラバンが襲撃されたようですが、積荷や遺体は発見できませんでした!」セヴェリアンが声を震わせている。

「襲撃された?何を見た?」アクロンが恐怖でしどろもどろなセヴェリアンに尋ねた。

「馬車の残骸の周りに多数の血痕が!血の匂いも!」セヴェリアンが早口で答えた。

これ以上尋問するとセヴェリアンが泣き出してしまいそうだ。

「ご苦労だった。自分と馬を休ませろ。他の者にもそう伝えて実行させろ」アクロンは入念に指示を出しておいた。

「セヴェリアンが様子をもう一度見に行くとは思えない。保険組合に相談するか……」アクロンはセヴェリアンの報告から最悪の事態が廃墟で発生したと確信した。

「パレスで夕食とは……最悪の事態が起きたようですね」領主の住む邸宅、通称パレスでの夕食に誘われた時点でクリントは勘付いていた

「そのとおりだ。死霊の地下迷宮が地上への出口を得た。死霊から得るものはなにもない。暗闇の中の永遠を求める者だけに得るものがある」

「なぜ、死霊の地下迷宮だと?」クリントはアクロンに根拠を示すようほのめかした。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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