Downfall The Daylights pt.1
Total War WARHAMMERをベースにしたファンタジーBLラノベです(そもそもTotal War WARHAMMERがなにゆえBLになるのやら……)
(なお、典型的なBLラノベなのでキャラクターと現実の人物に関係なんぞございません……)
(戦争ネタがガチリアルになりつつあるため、現実逃避に走ってます)
(聖王国歴1018年、大陸東海岸沿いの名もなき城)
「設営に手間取ったな……」急に闇夜になった空を見あげて聖王国軍海兵将軍のアダール卿がつぶやく。彼の顔は鋼鉄の兜によって戦場でさらされたことは未だにない。
つまり負けたことがないということを意味している。
「本隊を初陣に近い自分が指揮していいのでしょうか?」海兵本隊を指揮するジュニヤ卿が不安を吐露する。将軍としての初任務が攻城戦とは趣味が悪い。
「そっちが壁登っている間に城を落とすから安心してはしごを登ってろ」かつて自分の部下として使えていたジュニヤの額を小突いてアダールが立ち去った。
「しかし城の地図とか残ってないのかよ……」アダールがため息をつく。
歴戦の負け知らずアダール卿までもがこの作戦に一抹の不安を覚えていた。
だが聖王国の海兵に引くことは許されない。城を落とせと命じられればそうする他にない。覚悟を決めたアダールは自らを本隊と見せかける作戦に打って出た。
「雨がいつ降り出してもおかしくないほど雲が重く立ち込めているようだ。城壁を登っている間に降られたら終わりだな……」月さえも見えない闇の中でアダールは不安を隠せない。
その中で城攻めが始まった。手際よく城壁を上り詰めたアダール体は城の中心を落としに全力で疾走する。こちらを追えば本隊の敵もまた半分はこちらに割いてくる。
分断後に集団で各個撃破できれば確実に敵を殲滅できるとアダールは一種の賭けに出た。
その賭けはある程度の成功を収めるも敵が予想外の存在だった。
敵は未知の亡者の集団そして古き王国兵の姿だった。亡者に取り込まれたアダール隊は大きな犠牲を払った上の敗北を喫する。
アダール自身も敵将と戦っている間に異常なまでの倦怠感に襲われる。結局力が尽きたアダールは絶命寸前で敵から離脱し数十メートル先で気を失った。
その以前にすでに敵将と戦っていたジュニヤも倦怠感を抱えながら戦っていた。なぜこんなに急激に体調を崩したのか理解できないまま剣を振り回す。
アダールを追うため敵将が離れてなければジュニヤはそのまま死んでいたかもしれない。
結局この作戦は大失敗に終わり、敗軍の将兵たちは敵に囚われた。
アダールが目を覚ますとそこは埃っぽいとはいえ豪奢な寝室だった。おそらくこの城に住んでいた貴族の間を割り当てられたのだろう。
顔に手をやると当然ながらそこに兜は存在しない。当然鎧も脱がされて粗末な鎧の下に身につける服しか残っていない。
正直気まずい気がしてならない。
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