INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.13
大人の時間です(by天然無能)
「闇に流すって動画を見たいのだが……」点滴治療が終わり経過観察に移行したハザードが面会に来たチーム2デモリッションのユータスに要求する。
「あれは犯罪の証拠だから……」ユータスがためらいを見せる。
「カンパニー側でコピーぐらい取ってるだろ?」ハザードが図星をついた。
「実は責められている最中にも記憶はあった。身体も鈍くはなっていたけど中を掻き乱される感覚もあったし快感を感じて反応もしていた。ただ悶えたり抵抗するほどの力が入らなかっただけだ……」ハザードがあの時の感覚を語る。
「見たら精神的に辛くならないか?」ユータスが気にかける。
「逆だな……」ハザードが答えた。
「俺が始めてじゃないことぐらい士官学校の先輩も後輩も知っている。不本意に関係を結ぶことには慣れているとは言え今回ほど後味の悪いことはない」ハザードが過去を告白する。
ハザードは中性的な顔立ちと細身であることから士官学校時代の寮生活で目が覚めた時に誰かが上に覆いかぶさって身体の中を掻き乱しているという事は珍しいことではなかった。
「抵抗できれば殴り返すか蹴落とすなり出来たのだが……抵抗できないというのは辛かった……」8人部屋で同室だったユータスはハザードが時たま無断で上に覆いかぶさっている相手を殴る蹴るで部屋から叩き出すのに手を貸していた。
「しかも同僚の痴態を見ても瞼すら閉じられない。表情は明らかに正気を欠いていた。むこうもなにか盛られたんだろう。しかし、そこから顔もそむけられないんだから最悪だ」ハザードが全てを吐き出さんばかりにあの夜の精神的ダメージを告白する。
「……真剣に転職を考えている。あのメンバーと仕事が続けられる自信がない」ハザードがここまで打ちのめされているのはユータスでさえも初めて見る光景だ。
「個室を手配しておけと指示したワイズの判断は正しかったと思う……」ユータスが呟く。
「お前のカンパニーのチーム1隊長だろ?Bランクカンパニーにいる人材ではないな。医療的対応も完璧だった。いい上官を持ったな……」ハザードがそう言うと枕に頭を預けて天井を見つめている。
「しばらく1人にするけど構わないよな?」ユータスが尋ねる。
「ああ、そうしてくれ……」ハザードが目も合わせずに答えた。ユータスはゆっくりと扉を閉めた。
「ワイズ、話がある」ユータスがコンビニの前のテーブルでクラッカーをつまんでいるワイズに話しかけた。
「シャイニがコーヒー持って戻ってくるけど構わないよな?」ワイズが返事をすると同時にシャイニが美味そうなアイス・カプチーノを2杯持って帰ってきた。
「ユータス、お前も買ってこい……」ワイズがコーヒー代を無言で手渡す。話を切り出していいものか考えつつ自分はアイスコーヒーの深煎りを買って戻ってきた。
「差額1マーケット・ガーデン州元返して……」さすがワイズだけにカプチーノと深煎りの値段の差を覚えていたようだ。
「相変わらず細かいことだけは覚えてる……」やむなくポケットに丸めた1元紙幣をワイズに返すユータスであった。
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