INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.26

今回はやや社会派っぽいです……by天然無能@地下BL作者

「検出された弛緩剤の種類が8年前の大量殺人事件の被害者から検出された型と一致した」捜査官が8年前の事件を切り出す。

「この事件はデイリー・インダストリアル資格停止の原因となった事件でもある。この事件の証言を行うという人物が1名フルメタル・セキュリティーに在籍している。彼は君を公園から救助したチーム1のメンバーだ」捜査官が話を続ける。

「……なんと答えればいいんです?」ハザードの頭が混乱する。

「デイリー・インダストリアル、今のコンプトンズ・ファミリーは資金難からエデン特別市からの投資を募っていた時期がある。その時に下部組織の予科学校と幼年学校の生徒を投資家たちに奉仕させていた。彼らが提示された条件がカンパニーへの就職だ。その頃にはこの国の経済は崩壊していた」捜査官がデイリー・インダストリアルの闇を語る。

「度重なるマーケット・ガーデン特別市との契約違反が表向きの資格停止事由とされているが、少年たちの集めたエデン特別市からの投資によってデイリー・インダストリアルが犯罪に手を染めるようになった。結果彼らの領域であるコンプトン区が犯罪の巣窟となった」捜査官が話を続ける。

「それ以降マーケット・ガーデン市警の組織犯罪課は彼らの仕事を全て監視対象に置いた。そしてあの8年前の事件が発生した。『マッデス』と名乗る資産家の司令でデイリー・インダストリアルがコンプトン・リバー・エンド区の工場跡地に住み着いていた身分証明IDを所有しない少年たちを誘拐し、客を取らせて廃ホテルでビジネスを開始した」捜査官が怒りに声を震わせている。

「この時点でカンパニー機構にデイリー・インダストリアルの資格停止をマーケット・ガーデン市警本部が要請した。証拠も全て揃っていた。だが『マッデス』は機構の幹部だった。だから機構がその要請を受け付ける訳がない」捜査官が当時の衝撃的な事実を語る。

「結局少年16人は最後は弛緩剤を投与されてまで奉仕させられて死に至る。その遺体がかの公園に遺棄されたところでデイリー・インダストリアル所属の実行犯を逮捕した。そして誘拐殺人を始めとする複合犯罪への関与に対する行政処分という形でマーケット・ガーデン州検察がデイリー・インダストリアルの業務停止を民事申立で行った。流石に機構もこれを受け入れてデイリー・インダストリアルの歴史に幕が引かれた」捜査官が全てを暴露した。

「自分は少年たちが誘拐されたコンプトン・リバー・エンド署の少年課に当時在籍していた。16人の遺体を見た時の精神的な衝撃は今でも忘れられないでいる」捜査官がタバコに火をつける。

「自分は喫煙しませんがどうぞ……」ハザードは捜査官が気になった。

「この事件以降マーケット・ガーデン州とカンパニー機構は裏では敵対関係にある。マーケット・ガーデン州政府がカンパニー・ライセンスを発行する時には必ず機構の指示より州政府の指示に従えという独自の契約書が取り交わされている」捜査官がマーケット・ガーデン州政府とカンパニー機構との対立を明言する。

「なぜ自分にここまで話すんです?」ハザードが尋ねる。

「君の卒業した士官学校は最初にカンパニー機構に潰されたカンパニーを所有していた資本グループの傘下にある。だから多くの人材がデイリー・インダストリアルと対立し続けていたフルメタル・セキュリティーに紹介されて採用されている」捜査官がカンパニー機構の悪を語る。

「その資本グループの業種から概ねカンパニー機構の意図は推測できるな?」捜査官が締めくくる。

ハザードの背筋に寒いものが走った。その資本グループの業種は運輸業、しかも航空産業だ。何を運べるかは概ね察しがついていた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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