INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.35
登場人物の暗黒面暴露編……by天然無能@登場人物は全員悪人主義
「ちょっとそこの証言者側の護衛担当者、話がある」監視役の性犯罪捜査官が射撃を終えたハミットを別室に呼び出した。
「あの証言者とは特別な仲だな?」いきなり核心を突かれる。
「さすがは本職を欺けない……ええ、特別な仲ですし相手が女性ならばとっくに役所に婚姻届を出してます」ハミットが本音を打ち明ける。
「やはり……不純な意味では言っていない。男女の中でも愛のない関係は見慣れている。無論犯罪絡みもだ。聞きたいのは証言者の過去だ」捜査官がまた胸の内を語る。
「あれだけの屈辱を受けてもそれを冷静に証言できる男の過去が知りたい。彼がすでに狂気に陥っているのなら証言の信憑性が疑われる」捜査官が理由を説明する。
「それを上回る経験を味わってますよ、彼はね……」ハミットが重い口を開く。
「士官学校の4年次に自分は寮監を任されていました。身持ちが固い方とは言え、将来カンパニーで稼げる士官学校生は外出すれば誘惑が多い。自分も『士官学校の4年生』を利用して誘ってくる女性と遊んでいた時期もある」ハミットが素直に過去を告白する。
「でも飽きるんですよ、金や地位相手の人間と遊ぶのって……もともと士官学校は喧嘩屋の集まりでもある。ときには女よりギャングと遊びたい時もある……」ハミットが意外にも喧嘩を好む性格を認めている。
「ただの不良相手に喧嘩しても士官学校4年次の相手にはならない。そうなると士官学校内のゴロツキを漁って喧嘩を売るしかない」ハミットが自分の暗黒面を告白する。
「寮監という立場は利用させていただきました。ただ立場上表沙汰になるのは避けたい。だから寮の規約違反者を襲撃した」ハミットの射撃の腕を見ればその攻撃性は理解可能だ。
「最大の規約違反は寮内での法規違反。そこで違反者を探してたどり着いたのが当時1年次の証言者の部屋でした」ハミットが馴れ初めを語る。
「あの部屋の前には証言者目的の違反者が毎晩いた。だから楽しかったですよ。数的不利で喧嘩し放題でしたから」ハミットが若干の笑みを浮かべている。この男はカンパニー以外の職業には不向きである。
「証言者の同室者にはうちのカンパニーに在籍している戦闘員もいた。彼も喧嘩屋上がりの生徒だったので最初は結構喧嘩を買っていたそうです」ハミットが士官学校の乱れた実態を告白する。
「警察学校ではありえない……そんな規約違反者が卒業しているのか?」性犯罪捜査官が呆然とする。
「士官学校とは名ばかり。全国のカネ目当ての喧嘩屋が集まる狼の巣窟。それが士官学校の全てです。むろん、証言者も喧嘩屋上がりの1人だったことは補足させていただきます」ハミットが士官学校の現実を語る。
「あの証言者も1つの地方都市では極道も頭を下げる喧嘩屋です。ただ全国から喧嘩屋が集まる中ではどれほど個人が強くても数的不利なら諦めるしかない……」ハミットがハザードが決して弱くはなかったことを証言する。
「流石にこっちも毎日遊んでいると飽きてくるんですよ。それほどまでに数が多かった。そこで学校側と交渉して自室に彼を保護したんです。寮監は特権として本来8人用の部屋を1人部屋で使うことが許される。無論不要なベッドは撤去して書架と机に交換しましたし、空きベッドは筋肉トレーニング用に使っていましたが……」ハミットはやはり真面目である。
「士官学校の寮監は学業成績と実技成績が3年次の上位10人で未内定者が条件です。自分は次席でしたが主席がすでに就職先が内定していてそちらのカンパニーの訓練過程に進んでいたので自分が寮監を引き受けました」ハミットが寮監になった理由を説明する。
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