INSURGENCY Companies of Rogues REDUX pt.78

「中国人民解放軍陸軍07式夏季迷彩」なるパターンを製作中に寝落ちしましたby天然無能@素材職人

「モミージから着信だ……今は切れている……あ、留守録が残っている」ハミットは簡易留守録に残されたメッセージを聞いてみる。

その内容はピンク・ウルブスのチーム2の8人中7人がサンドストームの餌食になり、全員が意識不明であり、チーム2隊長のジェニオは大量吐血して死線を彷徨っているというもので、モミージは蘇生術に関しては天才的なワイズの指示を仰ぎたいとの内容だ。

(……ワイズの蘇生率は普通の10倍とは聞いているけどなんでグランドスラム州にまで?)ハミットは首をかしげつつワイズの元に戻った。

「えっ?ジェニオが大量吐血?!」ワイズの表情が一気に深刻さを増している。

「悪いがちょっとハミットと一緒に席を離れる。至急の用ができたらしい……」ワイズはそう言うとハミットの襟首を掴んで駐車場に向かった。

「今はハザードへの熱愛よりモミージに至急かけ直せ」ワイズがハミットを運転席に押し込むとモミージに電話をかけ直させた。

「相手との通話が始まる前に説明する。大量吐血してもジェニオに輸血することはできない……下手に輸血すれば拒絶反応を起こして取り返しがつかなくなる」ワイズがハミットに静かに言った。

「……モミージの方が僕より優等生だから向こうが出たらすぐ代わる」ハミットが通話を待つ。1分後に着信した。

「ハミット!このままだとジェニオが!」電話の向こうのモミージが珍しく混乱している。

「今、スペシャリストに交代する。落ち着いて指示を聞いてくれ」ハミットはそのままスマホをワイズに手渡した。

「輸血はしたか?」ワイズがモミージに尋ねる。

「適合する血液がない!今、各州の血液センターにオーダーしているが間に合うかどうかはわからない」モミージが早口で半ば叫んでいる。

「輸血は忌避事項だから絶対させるな。それを担当医に伝えてくれ。あと吐血ということは急性の胃潰瘍だ。輸血を要するということは穿孔(せんこう)しているな……」ワイズは至って落ち着いた対応をしている。

「今、担当医に交代する。医師団は為す術がないって……」電話の向こうから涙声が聞こえた。

「ハミット、今からマーケットガーデン国際空港の国際線ターミナルに向かってくれ。深夜便で現地に向かわないと確実にジェニオは絶命する」ワイズが冷静にハミットに告げる。

「そんなにひどいのか……」ハミットが言葉を失っている。

「対応策があるんだけど……向こうが理解できなければしょうがない。医師団にある程度は指示を出す。それでも延命できるのは6時間がいいところだろう。それ以降は失敗の許されない手術を乗り切る必要がある」ワイズが静かな口調で語る。

「わかった。道を間違えないようにする……」ハミットが一般道を選択する。この時間の高速は混雑している時間帯だ。うまく道を選択すれば一般道の方が早く到着できる。

「しまった!」アンダーパスから飛び出してきた黒塗りの高級車とハミットの愛車がぶつかってしまった。極道が示談の条件を模索している様子だ。極道の提示した条件は「暇な時に一晩付き合え」の一言だった。

「答えはこれです……」ハミットはバイカル442自動拳銃をとっさに抜いた。

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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