子供に見せてはいけない有害なダークファンタジー

千葉県内落ち着いた?by天然無能@ちばぎんカップを地上波で見ようとテレビを操作したが無理だった

第18話 魔王が居場所に困る話

外出許可の出ない休日は居室から出られない牢獄状態だ。昨晩楽しんでなければ精神的に限界だ。

外から聞こえる教官たちの怒鳴り声が羨ましい。外に出て死ぬほど走らされたり剣の扱い方を咎められている方が8人部屋に閉じ込められているより気楽に思えるのは俺だけか?

この拷問時間についに俺は耐えられなくなった。

練兵場の裏側に向いた窓の周りを見渡す。ここはそんなに高い階ではない。昨晩は練兵場に向かう側の窓から雨樋を支えにうまく降りることが出来た。

脱出するときのコツはゲートルをうまくひねりながら巻いて足首をしっかりと保護して指先もまた弓を引くときとは違うパターンで保護して手袋代わりにする。

ブーツの底に鋲を打つのを好むのもいるが、あれは濡れた階段とか石畳で足を滑らせるだけだからやめたほうがいい。

何よりも足音が目立ちすぎる。あれを履いて建物の中で戦ったら真っ先に発見されてほぼ命はないだろう。

ただ、今のブーツは靴底がすでに減っている。再支給を要請しているが、今の所返事がない。訓練中に底に穴が空いたら素足で訓練を続けろというのか?

さて、脱出ルートの検討だ。まず、ここ3階から2階へのルートだ。何かはしご代わりになるものを探す。口元に笑みが出る。なんと、外階段まで足場となる梁を見つけたのだ。外壁の板目に指をしっかりねじ込んでゆっくり進めば5ヤードなど問題なく移動できるはずだ。

さて実行に移すとする。幸いこちら側には誰もいない。ゆっくり手はずを進めよう。思ったより梁が太い。板目も想像以上に空いている。部屋が冷え込む理由がよくわかった。建て付けにガタが来ているのは5ヤード移動しているうちによくわかった。

これはさっさと建て替えるべきだ。突風で傾きかねない。

外階段もひどい有様だ。踏み抜かないよう落ち着いて、ゆっくりとかがみながら下へと降りる。姿勢を低くしただけで完全に隠れられる外階段の作りには問題がありすぎる。

外階段の最後の踊り場で周囲に人がいないか確認する。やはり誰もこちら側にはいないようだ。

それにつけても慎重に進まないとこの板はいとも簡単に踏み抜けそうだ。

ここからは茂みと茂みの間をスプリントで切り抜ける。

こうして俺はいとも簡単に脱走に成功した。暇を潰す場所はスコップや土嚢袋を収納している倉庫と決めている。あそこは施錠されていない。

やはり鍵は空いている。意外と人が出入りするのだが、土嚢袋の山の上にいると気づかれないものだ。時たま拝借しているのだが、それも気づかれてはいない。誰も帳簿をつけられないのだろうか?兵站が心配になってくる。

ここは静かで気が落ち着く。だが流石に予備兵と訓練生の居室が同じというのは問題だ。これは交渉の余地がある。

ここでのんびりしていると外がやっと騒ぎ出した。数時間はここにいたはずだが、今頃になって不在に気づくとは。明日も外出禁止の休日なので懲罰と入れ替えた方が楽しめそうだ。

夕食時に何もなかったかのように食堂に現れた。兵舎の方の物音には気を使っていた。それであの連中が戻ってきた事が理解できた。

「食事は別場所で……」ここで俺は察した。「懲罰」を受けることになるのだと……

Gangbear's Light Novels

スピン・オフと言えば聞こえがいいが2次創作のラノベだからな!

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